2018年7月、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(右)が国家情報院構内に設置した名もなき星を眺めている。左は当時の徐薫(ソ・フン)国家情報院長。[中央フォト]
◆「名もなき星」の増加
昨年1月、対共捜査権を警察に移管した国情院の主な業務は、海外および北朝鮮情報の収集と産業経済情報を含む防諜機能だ。対テロと国際犯罪情報を収集して対応するのも国情院の役割だ。情報を収集する矛と我々の情報が海外に流出しないようにする盾の役割だ。世界各国で自国の情報を漏らさないための努力が増え、情報収集の危険度は高まった。
特に北朝鮮関連情報を収集する過程では命を失ったりもする。対北朝鮮情報収集要員だったチェ・ドクグン領事が1996年10月、ロシアのウラジオストクで北朝鮮の偽札流通と麻薬取引を追跡して殺害された事件が代表的な例だ。国情院はチェ領事のように業務中に殉職した要員を「名もなき星」と呼んで国情院構内に星を刻んでいる。米バージニア州ラングレーの米中央情報局(CIA)本部のロビーにある、秘密作戦での犠牲者を追悼するために石板に星を刻んだ「追悼壁(Memorial Wall)」と似ている。2018年7月、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国情院を訪問し、18の「名もなき星」が刻まれた造形物の除幕式を行った。1961年に国情院の前身である中央情報部が創設されて以降18人が任務遂行中に殉職したということだ。星の数は2021年まで1個が追加され、その後も1~2年に1人ずつ殉職者が発生した。
◆「金正恩委員長を追う」
李在明(イ・ジェミョン)政権に入って北朝鮮専門家の李鍾奭(イ・ジョンソク)院長が引き受けた国情院は対北朝鮮情報能力の強化に集中した。人工衛星や盗聴機器など技術を活用したテキント(TECHnical INTelligence)はもちろん、人的情報ヒューミント(HU MINT・Human Intelligence)拡充は現在進行形だ。一部では最近、国情院が院長の関心事案である対北朝鮮情報収集に過度に集中しているのではという懸念が出るほどだ。院長が主管する会議で北朝鮮関連内容が相当部分を占めるという話がある。
対北朝鮮パート要員は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を影のように追うべきという注文を受けたりする。昨年9月、金正恩委員長が中国戦勝節80周年記念軍事パレードに出席するという情報を取得したのは最近の国情院の力量を見せる事例だ。金正恩委員長が中国行きの列車に乗るまで流動的だったが、国情院はヒューミントとテキントを通じて「情報」で判断して米国と共有し、国会情報委にも報告した。昨年10月にトランプ米大統領が訪韓を契機に朝米首脳会談を提案した時も、北朝鮮指揮部の動向が国情院に捕捉された。当時ロシア訪問を予定していた北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相が出張の延期を検討し、金委員長がトランプ大統領と会う場合、米国側で同席が予想される人物の情報を北朝鮮が分析中という情報だった。
5日、カンボジア・プノンペンで国家機関を詐称して女性を対象に性的搾取犯罪をしたスキャム犯罪組織員26人を検挙する過程でも国情院の役割が大きかった。2023年末からカンボジア犯罪組織の深刻性を認識し、本部から要員を随時派遣して情報力を高めた。
ただ、カンボジア犯罪組織の深刻性を認識しながらも、昨年8月の韓国人大学生死亡事件を事前に防げなかったのは惜しまれる部分だ。
【コラム】韓国国情院、対共捜査権は移ったが金正恩委員長の影も追う情報力強化(2)
この記事を読んで…