AWSのマット・ガーマンCEO2日のイベントで基調演説をしている。[写真 AWS]
AWSは2日、米ネバダ州ラスベガスで開かれた年次カンファレンスで、独自開発したAI半導体「トレイニウム3」を発売したと発表した。トレイニウムはAIモデル訓練に使われるチップだ。AWSのマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)は基調演説で「トレイニウム3は大規模AI訓練と推論分野で業界最高のコスパを見せる」と明らかにした。
トレイニウム3は前作に比べコンピューティング性能は4倍以上改善され、同一電力で処理可能なAIトークン(データ単位)数は5倍に増加した。同じ電力を使って作業量は5倍こなせるという意味だ。トレイニウム3をつなげた「トレイニウム3ウルトラサーバー」も正式発売した。最大144個のトレイニウム3チップを一度に連結できる。ステージにトレイニウムウルトラサーバーのラックが登場すると観客席からは拍手と歓声が起こった。この日の行事会場には約6万人が集まった。
業界では競合ビッグテックと比べAI分野で明確な成果を出せなかったアマゾンが独自開発のAI半導体で追撃を開始したとの評価が出ている。エヌビディア1強体制だったAI半導体市場は最近グーグルがジェミニ3を独自製作の半導体であるテンソル処理装置(TPU)だけで開発した事実が公開され構図が揺らいでいるところだ。この競争にAWSまで加勢したのだ。
ガーマンCEOはこの日、トレイニウム3発売の発表に続き、次期作であるトレイニウム4開発の事実も公開した。彼は「(トレイニウム4は)これまでよりAI演算性能が6倍向上し、メモリー帯域幅が4倍増えるだろう」と説明した。簡単に言えばAIが正解を探すために計算する速度が6倍速くなり、データの移動も4倍増加するという意だ。合わせてトレイニウム4が「エヌビディアNVリンクフュージョン」(数千個のチップを連結してひとつのように動かすエヌビディアの技術)に対応できるよう作られている点も公開した。業界ではエヌビディアの既存顧客が自然にトレイニウムにシフトできるようにした設計との見方が出ている。
AWSはAI半導体基盤からAIモデル、AIエージェントまでAI生態系のバリューチェーン全般をとらえようとしている。この日ガーマンCEOは独自AIモデル「ノバ2」と企業が自分たちが持っているデータでオーダーメード型AIモデルを作れるように支援する「ノバフォージ」を出した。自律型AIエージェントである「フロンティアエージェント」も紹介した。フロンティアエージェントは中間過程で人の介入が必要な既存のAIエージェントとは違い、目標まで判断してすべてを行うエージェントだ。合計3種で、開発を担当する「キロオートノマス」、運営を担う「デブオプスエージェント」、セキュリティの責任を負う「セキュリティエージェント」が出された。
ガーマンCEOは「すべての産業がAIによって再編されている。AWSはすべての組織がAIをより速く、より安全に、より確実な成果を出して使えるようにするだろう」と話した。
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