翰林大学春川聖心病院のパク・チャンフム教授(中央)をはじめとする研究チームが先月宇宙バイオ実験装備「バイオキャビネット」周辺に集まった。この装備はヌリ号に搭載され宇宙に無事到着した。[写真 翰林大学春川聖心病院]
パク教授は韓国では珍しい「宇宙を研究する医師であり医科学者」だ。より良い患者治療のため宇宙医学に飛び込み今年で11年目。「がん手術患者への移植用に使う鼓膜など人工臓器を作って限界に直面し、自然に重力が少なく研究に容易な宇宙に目を向けることになった」と話す。頭頸部がん治療、鼻再建など患者の診療も手放さなかった。「診療を継続してこそ『こうしたものを改善すれば患者に役立つ』というインスピレーションを得ることができる」からだ。
2021年に始動したバイオキャビネットは55キログラムの先端研究搭載機器だ。バイオ3Dプリンタと幹細胞分化培養器などを含む。重力がほとんどなく放射線露出が大きい宇宙環境でミニ人工心臓を作り、細胞生存、機能変化などを観察するのが目標だ。微細血管が多い心臓は地上では作りにくく、宇宙飛行士に心血管疾患が致命的であることを考慮して初めての宇宙実験対象とした。パク教授ら8人がこのプロジェクトに参加し、ヌリ号が無事に宇宙へと飛んで行き研究チームは夢の「最初のボタン」をかけた。
各国の宇宙実験は前にもあった。だがバイオキャビネットのような実験装備を作って送るケースは珍しい。「衛星を通じた人工臓器3Dプリンティングは世界初」というのがパク教授の説明だ。彼は「バイオキャビネット研究を始めてから休日を忘れて生きた。午前0時前に帰宅した日もほとんどないほど」と話す。「海外の資料は公開されておらず、韓国では参考にできるほどの先行研究者がおらず研究は容易でなかった」という。
バイオキャビネットの任務期間は60日。実験の時計はすでに回り始めた。装備内も温度と圧力など簡単な情報はすでに入ってきており、幹細胞で心臓を作り血管が分化する過程の映像と数値などは早ければ今週から定期的に受け取ることになる。
だがパク教授はすでにさらに遠い宇宙を見ている。彼は「今回の実験の成功ぐらい宇宙環境の影響を受けたデータを確保することが重要だ。これを分析して今後の研究に活用するだろう」と話した。2027年には膠芽腫(脳腫瘍)治療に向けた地球帰還型衛星「バイオレックス」の打ち上げを進める計画だ。最も悪性の腫瘍とされる膠芽腫を地球ではなく宇宙環境で培養した後、抗がん剤投与などの実験をすることになる。月・火星プロジェクトも推進する考えだ。「夢を食べて生きる」という彼に、実現しなければならない第2、第3の夢がずっと貯まっていくということだ。
「今後すべきことが多いです。宇宙バイオ分野は研究開発投資が重要なだけに政府支援も増えたら良いでしょう。私のような挑戦が積もれば、若い医師・科学者も宇宙研究を考える時代がくると信じます」。
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