ヒジャブを着用してプロボクシングのデビュー戦に臨んだゼイナ・ナサルさん。[SNS キャプチャー]
ナサルさんは26日(現地時間)、パキスタン・ラホールで開かれた第2回国際ボクシング選手権(IBC)大会の女子バンタム級(6ラウンド、各2分)で、タイ出身のカノコワン・ウィルンパット選手と対戦した。両選手とも、下はハーフパンツ、上は肩部分が露出したノースリーブのシャツ姿だった。ただしヘアスタイルは違っていた。ウィルンパット選手が長い髪を後ろで束ねていたのに対し、ナサルさんは頭部から手足までを覆うヒジャブ兼全身カバーを着用した。ナサルさんの手足部分は素肌が露出していなかった。
ナサルさんが着用したヒジャブ兼全身カバーは黒色だった。頭に密着するフード型のヒジャブには、彼女を2017年から支援してきたスポーツブランド「ナイキ」の白いスウッシュロゴがあしらわれていた。彼女が着ていたワイン色の試合用ウェアの前面には、白い文字で「THE MUSLIM MISSES」という文字がプリントされていた。ナサルさんは落ち着いてジャブを軸に試合全体の流れを主導し、次々と有効打を放った。プロデビュー戦となったこの試合で、ナサルさんは審判3人から満場一致の判定を勝ち取った。
BBCスポーツによると、ベルリンで暮らしていたナサルさんは13歳のとき、ユーチューブで女子ボクシングの試合を見てボクサーになることを決心し、両親を説得したという。ジムに登録してボクシングの練習をする間もヒジャブを着け、手足の素肌が見えないよう長袖の服を着ていたが、当時のドイツのアマチュアボクシング規定ではこうした服装での出場は認められていなかった。ナサルさんはボクシングを始めて1年後、14歳になったときに、長袖の服と頭を覆うスカーフを着用して試合に出られるよう規定を改正させることに成功し、大会への出場が可能となった。その後、ベルリンチャンピオンに続きドイツチャンピオンにもなった。
ナサルさんは国際ボクシング協会(IBA)の招待でヨーロッパ選手権大会に参加しようとしたが、国際大会ではまだ規定が変更されていないことを後になって知った。彼女は19歳のときから国際規定の変更を求める運動に取り組んだ。2019年、IBAはヒジャブ禁止規定を撤廃し、現在オリンピックのボクシング競技を管轄している「ワールドボクシング」もヒジャブと全身カバーの着用を認めている。ナサルさんは「私の活動をきっかけに、アマチュアボクシングではすべての女子選手がヒジャブを着けて試合に出られるようになり、自分のアイデンティティを守ることができるようになった。これが私にとって最も誇らしい勝利だ」と語った。
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