11月1日、韓国慶州(キョンジュ)での国賓訪問歓迎式で、李在明(イ・ジェミョン)大統領(左)と習近平中国国家主席(左から2番目)が儀仗隊を査閲している。[写真 新華社通信]
特に、李在明(イ・ジェミョン)大統領が8月にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)を訪れた際、「安米経中路線を過去のように続けることはできない」と発言していた点に注目が集まった。今回の韓米、韓中連続首脳会談を通じて、その路線が柔軟に変化した点が取り上げられた。会談直前に突発的に浮上した原子力潜水艦などの敏感なイシューを避けつつ、両首脳の“ケミストリー(相性)”を合わせることに成功した会談だったという指摘だ。
河南財経政法大学の李春福教授は2日、中央日報に対し「アジア太平洋経済協力(APEC)議長国を引き継いだ習主席の“蝶”発言が印象的だった」とし「前日に李大統領が言及した発言に触れ、慶州の蝶(晩餐会のときに演出のモチーフになっていた蝶のこと)が深圳まで飛んできて歌ってほしいと語り、両首脳のケミストリーを誇示した」と評価した。贈り物を交換する際、シャオミ製スマートフォンのセキュリティについてのやり取りや“バックドア”の確認まで話題にした場面でも、両首脳の親和力がよく表れていたという。
中国はまた、会談発表文で北朝鮮に言及しなかった点にも注目した。李教授は「李大統領が北朝鮮との対話再開のために韓中間の戦略的疎通を強調したのは、米国だけでなく中国にも韓半島(朝鮮半島)の“ピースメーカー”を求めた格好だ」とし「中国も正常軌道に戻った中朝関係を意識したようで、言葉を控えた」と分析した。「民生協力を強調し、通貨スワップや韓半島問題など、実務的協力を通じて“安米経中”路線の廃棄宣言で“イシュー別協力の柔軟性と国益中心の方向性”を示した会談」だったという評価だ。
また、来年4月にトランプ米大統領の訪中が実現すれば、その前後で米朝の二者会談にとどまらず、韓半島の解決策を議論する南・北・米・中による4者会談に発展する可能性もあると指摘した。
2017年の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国賓訪中に続き、習主席の11年ぶりの国賓訪韓でも韓中共同声明が発表されなかった点については、APEC多国間会談を契機したものという限界を指摘した。李教授は「李大統領は新華社のインタビューで、韓中関係の回復に重点を置いた」とし、「具体的成果を調整するには時間が必要であり、次回の李大統領の国賓訪中の際に期待できる」と展望した。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の董向栄研究員は、今回の慶州会談を「問題点を直視し、実質的協力を強調した会談」と評価した。董研究員は「ここしばらく中国イシューは韓国政治に巻き込まれ、深刻な挫折を経験した」とし「韓中関係が低迷期を脱し良い方向に発展するためには、政治的相互信頼を再建し、友好的な国民感情を再構築する必要がある」と指摘した。
また、韓中間で新たな経済協力モデルを模索した点も成果として挙げた。董研究員は「国交樹立から33年、中韓経済関係は相互補完から特定分野での競争中心へと転換し、経済協力モデルの調整に直面している」とし、「今回の首脳会談で、サービス貿易・科学技術・農業などの分野における実質的協力にポジティブなシグナルを送ったことは、両国経済界の高い関心を引くに値する」と述べた。
経済協力に関し、習主席は会談で「利益の絆をより強く結ぼう」と述べ、「人工知能・バイオ製薬・グリーン産業・シルバー経済など新興分野での協力」を提案したと、国営新華社が報じた。これは、中国が米国の牽制(けんせい)から比較的自由な新興分野で韓国と新たな協力モデルを探ろうとする趣旨ではないかとみられる。
新華社はまた「相手の核心的利益と重大関心事に配慮し、葛藤(矛盾)や相違点(分岐)を友好的な協議を通じて適切に処理しなければならない」と強調した。ここでいう「核心的利益」とは、一般的に韓国は北朝鮮の非核化を、中国は台湾問題を指す。
中国が言う「矛盾」とは、国家体制の違いを意味する。中国現代国際関係研究院北東アジア研究所の陳向陽研究員は、2022年学術誌「現代国際関係」に寄稿した「中韓国交30周年:実質的協力と構造的矛盾」という論文で、その構造的矛盾を詳しく分析した。陳研究員は「中韓は経済的非対称性が顕著であり、政治・安保理念の意見の相違が深まり、協力環境の不安定要素が増加する中で、“二つの国家、二つの体制、二つの安保システム”の構造的矛盾が激化している」と指摘した。
台湾「聯合報」は2日、「“習李会(習近平・李在明会談)”で、李大統領が北朝鮮との対話復帰に向けて中韓両国が戦略的疎通を強化することを期待した」とし「会談後、中国メディアは北朝鮮に言及しなかった」と強調した。シンガポール「聯合早報」は「両国中央銀行間で、満期5年・総額70兆ウォン(約7兆6000億円)規模のウォン・人民元通貨スワップ契約に署名した点」を際立たせた。香港「星島日報」は、両国民の心が通じ合うよう世論誘導と人的交流を拡大した点を強調した。
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