李在明大統領が25日にホワイトハウスでトランプ米大統領と首脳会談をしている。[写真 韓国大統領室写真記者団]
24日にアジア訪問に向かったトランプ大統領は、大統領専用機内で記者らと会い、韓米交渉に対して「妥結に非常に近い。彼らが準備できたならば、私も準備できた」と話した。29日の首脳会談を控え韓国政府の決断を促す発言をした。
米国は3500億ドルのうち2000億ドルを現金ですることにし、年200億~250億ドル以上に分けて投資することを要求している。韓国は年間150億ドル前後の分割投資が最大値という立場だ。韓国の外国為替市場を考慮した判断だ。韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は23日の通貨政策方向会議後に開かれた会見で「外国為替市場に大きな負担なく調達できる金額が150億~200億ドル」と明らかにした。産業通商部の金正官(キム・ジョングァン)長官も24日の国会国政監査で「類似の議論があった。どの水準が適正なのかをめぐり両国が激しく対立している」と話した。
韓国政府は米国の要求を受け入れるのか、交渉をさらに引き伸ばすのか選択の岐路に立っている。大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は24日、「慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開幕までの米国との追加対面交渉は難しい。APECを契機にした妥結を期待するならば先は長い」と話した。李在明(イ・ジェミョン)大統領も最近CNNとのインタビューで「調整・矯正に相当な時間と努力が必要だ」として速度調節を示唆した。一部で提起された「部分合意」の可能性をめぐり韓国政府は「考慮しない」と線を引いた。
だが交渉が長引き市場不安は大きくなっている。半導体、自動車、鉄鋼など韓国の主力輸出品が最恵国待遇の適用から除外されたり、関税引き下げの恩恵を受けられなくなることもあり得る状況に置かれているためだ。すでに対米自動車輸出は3月から7カ月連続で前年比で減少している。
ウォン相場は7月の1ドル=1390ウォン台から今月は1440ウォン台(取引中)まで押された。これに伴い、3500億ドル規模の投資のウォン換算金額も487兆ウォンから504兆ウォンに17兆ウォンほど増えた。米国の要求通りにすれば韓国政府の財政負担も雪だるま式に大きくなりかねない。
ただトランプ大統領の立場で慶州でのAPECとこれを契機に行う韓米・韓中首脳会談は「トランプ関税」の外交的成果を印象付けられる舞台だ。トランプ大統領が20日に公言した「良い交渉結果」が米国の立場でも必要という意味だ。30日の米中首脳会談の前日に開かれる韓米会談で実質的な進展がなければならない状況だ。ラトニック米商務長官も韓米関税交渉を側面支援する次元で29日に韓国企業オーナーらと夕食をともにする予定だ。
西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「長期化は両国ともに否定的のため、双方が実益を考慮した政治的折衷点を求める可能性が大きい」と分析した。ソウル大学法学専門大学院のイ・ジェミン教授は「了解覚書(MOU)であれ共同宣言であれ、基本の枠組みだけ明確に文書で残すならば意味ある成果になるだろう」とした。
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