大田(テジョン)国家情報資源管理院電算室の火により郵便・金融サービスに支障が出ている中で28日、ソウル市内のある郵便局ATM(現金自動預け払い機)に関連の案内文が貼り出されている。[写真 聯合ニュース]
28日、韓国行政安全部によると、国家情報資源管理院大田本院火災で稼働が停止した国家電算網647件のうち、国民が直接利用するインターネット網サービスは436件であり、公務員内部行政網「オンナラシステム」など内部網は211件だ。韓国政府は火災の直接的被害を受けたシステム96件を除いた残り551件から優先的に復旧する方針だ。
特に国民が直接利用するサービスが停止することによって日常生活の至る所で被害が続出している。公的書類などのオンライン発行サイト「政府24」が代表的な例だ。2日前に家族旅行で釜山に向かったチュさん(53)は28日午前、ソウルへ戻る飛行機に、妻と娘を残して一人で搭乗しなくてはならなかった。チュさんは「身分証を置いてきた家族がモバイル身分証で認証しようとしたが接続できず搭乗に失敗した」とし「会社に急な用事があって自分だけ帰ってきた」と語った。空港の無人行政書類発行機も機能していなかった。このほかモバイル身分証が使えなくなり、病院でも市民の不便が続いている。
◇ 銀行で住民証による本人確認不可
住民登録証やモバイル身分証を通じて本人確認する市中銀行のモバイルバンキングも運営に支障をきたしている。農協銀行など主要銀行では運転免許証やパスポートなど代替手段による本人確認しかできない状態だ。代替身分証があっても新規融資を受ける際に支障が生じる可能性がある。今回の火災で公共マイデータサービスが停止し、融資審査に必要な各種公的書類をオンラインで発給できなくなったためだ。非対面取引のみを行うインターネット専門銀行は一部融資申請自体が遮断された。カカオバンクは住宅担保貸出や伝貰(チョンセ、賃貸住宅保証金)借入書類を実物で受け取って写真をアップロードすれば審査を行う方式に変更した。
郵便局は入出金や振込など金融サービスを28日午後遅くに復旧したが、宅配や郵便サービスの停止に市民の心配は大きい。忠清北道清州市(チュンチョンブクド・チョンジュシ)でベーカリーカフェを運営するパクさん(29)は「秋夕用ギフトセットを郵便局宅配で全国各地に送ったが、指定された日に配達されるか分からない」とし「賞味期限が切れないか心配だ」と吐露した。
不動産取引も不便を強いられている。国土交通部は同日「不動産総合公簿システムの障害により、週末の間、オンラインでの不動産取引申告と住宅賃貸借契約申告が不可能だ」と告知した。関連の申告が必要な国民は29日午前9時から担当自治体機関を訪問しなければならない状況だ。水原市八達区(スウォンシ・パルダルグ)で不動産を営むある公認仲介士Aさん(57)は「主要契約を来週にすべて延期せざるを得なくなった」とし「一度の火災で行政がこのように止まってしまってよいのか」と訴えた。
◇ 火葬施設予約サイトも接続不可
このほか国税・社会保障料など国庫金照会および納付にも支障が出ている。全国火葬施設オンライン予約サイト「eハヌル葬事情報システム」への接続もできなくなっている。
各部処は非常勤務体制に転換して対策を模索しているが、明確な対応策はまだ出せていない。公務員の文書作成及び決裁業務を統合運営する行政内部網「オンナラシステム」も一部停止し、各部処はセキュリティUSB活用など自助策を整えた。
この日調達庁によると、国家総合電子調達システム「ナラジャント」にも接続できない状況だ。昨年基準で公共調達規模(契約基準)は225兆1000億ウォン(約23兆8600億円)に達し、ナラジャント取引実績が145兆1000億ウォン(64.5%)を占めるほど取引比重が高い。
治安も非常事態だ。119消防システムも一部エラーが発生し、通報者位置を知らせる「位置追跡サービス」が停止した。その代わりに警察が112システムを通じて位置を把握し、消防に共有する形で対応している。このほか警察の事件受付や捜査進行状況を知らせる刑事司法情報システム(KICS)も本人認証、会員登録、通知などのサービスが突然停止するなど不便が繰り返されている。
一部空港では入国者検疫の問題も発生しているという。疾病管理庁の内部行政システム、疾病保健統合管理システム、防疫統合情報システムなどにエラーが発生し、入国者が手書きで記入した健康状態質問書だけに依存している。
韓国政府が国民に被害状況を知らせる文化体育観光部のe-ブリーフィングシステムも接続できていない。これにより火災関連の政府ブリーフィングはYouTubeチャンネルを通じて中継された。
この記事を読んで…