北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が29日、平壌(ピョンヤン)の木蘭館で、海外軍事作戦で手柄を立てた参戦烈士の遺族と会い、温かく慰労しながら記念写真を撮影したと、朝鮮中央通信が30日報じた。 [聯合ニュース]
労働新聞は30日、金正恩が前日(29日)、平壌の木蘭館で「海外軍事作戦で卓越した手柄を立てた参戦烈士の遺族に会って温かく慰労した」と伝えた。金正恩委員長はこの席で「異国の戦場で戦って倒れたわが軍官、兵士を再び起こして連れてくることができなかった遺憾、貴重な彼らの生命を守ることができなかったという申し訳ないという思いで遺族にもう一度贖罪する」と述べた。
これに先立ち韓国の国家情報院は5月、国会情報委員会の報告でロシア派兵北朝鮮軍の死傷者を約600人と推算したが、この日の行事は大量死傷者発生による民心の動揺を抑える目的が大きいというのが、専門家らの評価だ。特に金正恩委員長が特定集団を呼び集めて面前で頭を下げたのは異例の場面だ。
戦死者の子どもに言及しながら「この幼い子どもを見ると本当に胸が痛む」とし「彼らはそのように逝きながら私に短い手紙一枚も残さなかったが、家庭も、愛する子どもも私に任せたと考える」と話した。
金正恩委員長はこの日の行事に革命学院院長と国家指導幹部が参加した事実に言及しながら「英雄が残した子どもを革命学院に送り、私が、国家が、わが軍隊が全面的に引き受けて責任を持って育てる」と述べた。革命学院とは共和国の英雄など革命遺族の子女が入学する特殊教育機関だ。
また金正恩委員長は平壌大城(テソン)区域に戦死者を称える「新星通り」を造成し、戦闘偉勲記念碑を建てる計画も公開した。
金正恩委員長のこうした「報勲政治」の裏には派兵決定とそれによる成果を先代指導者と差別化された政治的功績として浮き彫りにし、独歩的な指導者となるための政治的資産として活用するという判断が作用したとみられる。同紙が公開した写真には、金正恩委員長が目に涙を浮かべながら北朝鮮の国旗で覆った戦死者の肖像を遺族に一人ずつ伝達し、頭を下げる場面もあった。
北朝鮮がこの日、労働新聞を通じて金正恩委員長の中国戦勝節出席を住民に知らせた点も目を引いた。内外に多国間外交デビューを公式化したものだが、金正恩委員長が伝統的な友好国の中国・ロシア指導者と並んで立つ姿を見せることで体制の正統性と金正恩委員長のリーダーシップを最大化する意図があると解釈される。
金正恩委員長がロシアとの密着の中で訪中カードを取り出したのは、ロシア単一変数だけでは軍事・経済的成果を加速させるのが難しいという判断が作用した可能性がある。これは「金正恩委員長がロシアの限界を知った」(趙顕外交部長官、KBS番組『日曜診断』)という評価が出てきた理由でもある。朝鮮中央テレビはウクライナ戦争派兵軍を称賛するミュージックビデオ『記憶する』を30日に公開した。
専門家の間では金正恩委員長が自身に有利に形成された情勢を最大限に活用する戦略を駆使しているという分析も出ている。慶南大のイム・ウルチュル極東問題研究所教授は「朝中ロがともに西側諸国の制裁を受ける状況でこれに対抗する朝中、朝ロ、朝中ロ間の結束をより一層強化する契機として活用する意図が内包されているようだ」と述べた。
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