19日、大雨による土砂崩れで損壊した宝物「山清(サンチョン) 栗谷寺(ユルゴクサ)大雄殿」の建物。[写真 国家遺産庁]
被害を受けた国家遺産の分類は、史跡3件、宝物2件、国宝・名勝・国家登録文化財がそれぞれ1件ずつだ。地域別では、忠清南道(チュンチョンナムド)が4件、全羅南道(チョルラナムド)が2件、慶尚北道(キョンサンブクド)と慶尚南道(キョンサンナムド)が各1件となっている。
慶尚南道山清(サンチョン)では19日、一日で300ミリに迫る激しい雨が降り、土砂崩れが発生し、宝物に指定されている「山清 栗谷寺(ユルゴクサ) 大雄殿」の建物の壁の一部と、周辺の建物1棟が損壊した。栗谷寺は新羅・敬順(キョンスン)王(在位927~935)の時代にあたる930年に創建され、現在残る大雄殿は朝鮮・粛宗(スクジョン)(在位1674~1720)の時代である1679年に重修(古くなった部分に手をいれること)されたという記録が残っている。建築文化遺産としての価値が認められ、1963年に宝物に指定された。
韓国国家遺産庁によると、今回の大雨で大雄殿内部にまで土砂が流れ込み、壁の一部が崩れたという。寺院関係者は全員避難した状態だ。
国家登録文化財である「宝城(ポソン) 安圭洪(アン・ギュホン)・朴済鉉(パク・ジェヒョン)家屋」では、母屋の裏側の石垣の土が崩れ、出入りが制限されている。また、曹渓山(チョゲサン)のふもとにある名勝「曹渓山 松広寺(ソングァンサ)・仙岩寺(ソナムサ)一帯」では、進入路に土砂が流れ込み、一部被害区間に立入禁止区域が設定された。
一方、国家遺産庁の公式集計には含まれていないが、最近国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産に登録された「盤亀川(パンクチョン)の岩刻画」が今回の大雨で水没した。
世界遺産に登録された2つの岩刻画のうち、国宝「蔚州大谷里(ウルチュ・テゴグリ) 盤亀台岩刻画」は、近くの泗淵(サヨン)ダムの水位が53メートルを超えると水没する。泗淵ダムは19日午前5時に水位が53メートルを超え、同日午後1時には水位が57メートルに達し、岩刻画は事実上完全に水に沈んだ。盤亀台岩刻画が水没したのは、2023年8月以来、およそ2年ぶりだ。
国家遺産庁の許民(ホ・ミン)庁長は19日、盤亀台岩刻画を現地で視察して安全状況を確認した。国家遺産庁は被害が確認された国家遺産周辺の通行を制限し、管轄自治体と連携して二次被害や事故を防ぐための措置を講じている。
この記事を読んで…