韓国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が10日午後、仁川(インチョン)国際空港第2旅客ターミナルを通じてワシントンD.C.から帰国している。
17日、政府高官は中央日報の記者と会い、「協議において、米国が最も強く問題提起しているのがまさに『オンプラ法』だ。牛肉など農畜産物市場の開放よりも圧力の度合いが強い」と述べ、「今回の協議の最大の難題として浮上した」と説明した。この関係者はさらに「米国は自国のビッグテック規制に対して非常に強硬に対応している」とし「カナダの場合、最近デジタル税の賦課を決めていたが、土壇場で白紙化した」と強調した。米国がこの問題を、韓国が必ず解決すべき非関税障壁と規定し、法制定の中断などを強く要求しているものとみられる。
オンプラ法は、大規模プラットフォーム企業を市場支配的事業者と規定し、公正取引委員会がこれを規制できる根拠を示した法案だ。共に民主党が準備中のオンプラ法は、大きく分けて「オンラインプラットフォーム独寡占規制法」と「取引公正化法」を包括する。独寡占規制法は、大規模オンラインプラットフォーム事業者を事前に指定し、抱き合わせ販売などの不公正行為を規制する内容であり、取引公正化法は、手数料の上限制や零細業者向けの優遇手数料率の導入が核心となっている。
問題は、規制対象に韓国内でサービスを展開するグーグルやアップルなど、米国のビッグテック企業のほとんどが含まれるという点だ。ある外交消息筋は「ビッグテックによる米議会と政府へのロビー活動が非常に激しいようだ」と述べ、「ワシントン政界では、韓国関連の話題としてオンプラ法が主な関心事になっている」と説明した。
実際、今月初めに韓国の通商交渉団が米国を訪問した際、共和党議員43人が米政府に書簡を送り、「オンプラ法は強化された規制要件により、米国のデジタル企業を過度に狙い撃ちしている」とし、「バイトダンスやアリババなど中国のデジタル企業は対象外とされており、中国共産党の利益を助長することになる」と主張した。米国は韓国だけでなく、カナダやEUのデジタル規制に対しても報復を予告するなど強硬な立場を取っている。カナダ連邦政府も、6月30日から実施予定だったデジタルサービス税の導入計画を撤回することにした。
これにより、韓国通商当局の悩みも深まっている。当面、通商当局は最近、民主党に対して関連立法を慎重に進めるべきだという意見を伝えた。通商当局の高官は「国会、関係省庁などと緊密に協議し、マンデート(委任)を受けて協議に臨む準備をしている」と述べた。
公正取引委員会もこの日、「自営業者を中心にすでに社会的イシューとなっているデリバリーアプリの手数料上限制問題は、グーグル(Google)とアップル(Apple)のアプリマーケット手数料とも関連しているため、『外食産業振興法』で規制すべきだ」という趣旨の意見を民主党と与党・政府の協議に提示した。これに対し民主党は「韓米通商イシューに抵触する可能性のあるアプリマーケット市場は除外するとしても、デリバリー・宿泊・ファッションアプリなどを含め、オンプラ法にその内容を盛り込むべきだ」として反対した。
ただし、この場に出席したある議員は「一部に意見の違いはあったが、通商イシューを考慮した方向で徐々に意見がまとまっていきつつある」と説明した。独寡占規制法についてはスピード調整するにしても、取引公正化法は李在明(イ・ジェミョン)大統領の大統領選公約であり、自営業者の保護のために推進すべきというのが民主党の基本的立場だ。しかし、通商当局はこれもまたグーグルやクーパン(Coupang)など米国企業に影響を与える可能性があるとし、懸念を示している。
一部では、通商当局が米国の要求を一方的に受け入れるのではなく、関税協議における交渉カードとして活用すべきだという指摘も出ている。譲るべきものは譲り、要求すべきことは要求するというスタイルの交渉が必要だということだ。呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長も最近、「我々が守らなければならない部分はあるが、制度改善、競争力強化、消費者福祉の側面から柔軟に考えるべき部分もある」と述べ、「バランスの取れたパッケージを作ることが重要だ」と語った。
西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「関税協議が進行している中、オンプラ法の制定を推進することで、無用に米国を刺激するのではないかと懸念している」と述べ、「オンプラ法施行による社会的福祉の増加と、関税引き下げによる影響などを比較分析し、判断を下す必要がある」と説明した。さらに彼は、「現在、米国との協議は、防衛費、投資、農畜産物開放、デジタル規制などを網羅しており、通商交渉本部のレベルを超えている」とし、「大統領室と国務調整室などが積極的に関与し、意見の調整にあたるべきだ」と強調した。
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