コメ市場開放は韓国政府が事実上「受け入れ不可」を叫ぶレッドラインだ。コメは韓国農業の根幹であり、国民の主食である点から最も敏感な品目だ。米国政府もこうした背景をしっかり認識している雰囲気という。ある政府関係者は「米国が砂糖は絶対譲歩できないノータッチ品目と認識するように、韓国でコメは一種の聖域と受け止められている点を米政府交渉チームはよくわかっている。これまで韓米交渉のテーブルにコメ市場開放が上がったことはないと承知している」と話した。

◇プラットフォーム法規制緩和の可能性


米国が問題にするデジタル分野非関税障壁と関連しては、プラットフォーム法規制緩和、位置基盤データの搬出許容などの可能性が議論される。韓国政府はデジタルプラットフォームの市場支配力乱用を規制し、中小デジタル企業と消費者保護を強化するという趣旨でプラットフォーム法導入を推進してきたが、法適用対象範囲、処罰レベルなどで調整の可能性があるという。


グーグルとアップルが要求する高精密地図データの海外搬出は政府がこれまで軍事施設露出の懸念など安全保障の観点から受け入れを拒否してきたが、高解像度の商業用衛星サービスがすでに普及している状況で妥当性を再検討する必要があるとの主張が出ている。

◇韓国の対応戦略…「シップス＆チップス」「パッケージディール」

これら米側の要求に対抗して韓国が活用できる交渉武器としては、まず韓米の製造業協力拡大カードが挙げられる。「米国製造業復活」を叫ぶトランプ政権に韓国が比較優位である造船や半導体など先端製造業分野の協力強化をレバレッジとして交渉力を高めるという戦略だ。在米韓国大使館のアン・セリョン経済公使は１４日の韓米経済研究所（ＫＥＩ）主催の対談で、「韓国は信頼される同盟として、製造業再建というトランプ大統領のビジョンを支援する独歩的な位置にある」と強調した。続けて韓国が造船と半導体などの産業で米国の再建を助ける代わりに関税を緩和する方向の交渉を推進するとし、これを「シップス＆チップス」と表現した。

最近訪米した大統領室の魏聖洛（ウィ・ソンラク）国家安保室長は、通商・投資・調達・安全保障の懸案をまとめて包括的に協議するパッケージ交渉を推進するとしたが、効果的な対応戦略になるだろうとの分析が出ている。オバービー元代表は「パッケージ交渉戦略は戦線を広げ妥結が難しくなりかねない点で一般的には勧められないが、すべての事案を関税に絡めるトランプ政権との交渉では良いアプローチ法になるかもしれない」と話した。

対米投資拡大も韓国が使えるカードだ。韓国政府はアラスカＬＮＧ開発プロジェクトへの参加を圧迫する米国にひとまず基礎資料を要請した状態だ。開発事業進出が難しい場合、米国産ガスなどエネルギー輸入拡大で米国を説得するという立場だ。


韓米関税交渉、韓国の立場は…車は譲歩カード、プラットフォーム法は交渉、牛肉は苦心、コメは不可（１）