韓米の将兵が6月、京畿道平沢(ピョンテク)キャンプ・ハンフリーズで共同訓練をしている。 [写真 陸軍]
--戦作権転換は米国と協議中なのか。
いま新たに協議を開始したかどうかという意味ならそうではない。「20年前から」という前提を付ければ正しい。韓米は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で韓米連合司令官が持つ戦争・戦闘時の作戦統制権を韓国合同参謀本部議長に転換することに合意し(2006年)、転換の時点を「2012年4月17日」に決めた(2007年)。しかし北朝鮮の脅威が強まり、李明博(イ・ミョンバク)政権当時の2010年に転換時点を「2015年12月1日」に先延ばしした。続いて朴槿恵(パク・クネ)政権だった2014年、両国は従来の「時期」に基づく戦作権転換方式を「条件」に基づく転換方式に変更した。そして文在寅(ムン・ジェイン)政権の2017年6月、韓米首脳は条件に基づく戦作権の転換が「早期」に行われるよう協力することにした。双方は毎年、韓米定例安保協議(SCM)で協議を継続している。
--現在、米国との安保-関税パッケージディール過程で議論の対象なのか。
そうではない。政府は「戦作権転換問題は以前の政府から長期的に議論してきた事案」という立場だ。実際、現在の安保トラック協議は韓国も国内総生産(GDP)比で国防費を5%に引き上げるべきという米国の要求を中心に進行しているという。現在、韓国の国防予算はGDP比2.3%水準だ。ただ、すべての交渉がそうであるように議題はいつでも拡張される可能性がある。
--戦作権転換の条件を満たしたのか。
そうではない。戦作権転換のために満たすべき条件は▼連合防衛主導のために必要な軍事的能力▼同盟の包括的な北朝鮮核・ミサイル脅威対応能力▼安定した戦作権転換に適した韓半島および域内安保環境--など、大きく3つのカテゴリーに分かれる。韓国が戦時に連合防衛体制を率いて戦区作戦を主導できるかがカギだ。さらに転換時点の情勢に対する評価も別に行われる。毎年の連合訓練を通じて一種の「模擬試験」を行うが、まだ条件を満たしていない。
--条件を満たさない転換も可能なのか。
今の韓米間の合意が維持されるなら不可能だ。大きく3つが基準だが、下位の細部項目が無数にあり、客観的に計量化した目標を達成しなければいけない項目も多数ある。与党の一部で法改正などを云々するのは脈絡に合わない。もちろん韓米が「早期転換」に傍点を打つことに再び合意すれば理論的には可能かもしれないが、その場合、条件を満たすかの検証が十分に行われないおそれがある。これに関連し米上院軍事委員会が11日に処理した2026会計年度国防権限法(NDAA)は「朝鮮半島で米国軍事態勢の縮小や連合司令部の戦作権転換が国益に符合すると国防長官が議会に保証するまではそのような措置を禁止する」と規定した。
--戦作権の転換は李在明(イ・ジェミョン)政権の公約なのか。
そうだ。第21代大統領選挙の共に民主党の政策公約集に「堅固な韓米同盟基盤の上で戦時作戦権転換の推進」とある。李在明大統領は第20代大統領選挙当時には戦作権早期転換を主張したが、「戦作権転換を早期にするべきと述べたのであって、条件の必要なくするという話はしたことがない」(2022年2月討論)とし、条件にも言及した。国防委員会で活動した当時には「独立国家だが、軍事主権を他国に委託したり共有したりする国が我々を除いてどこにあるのか」という問題意識を表したりもした。(2022年8月)第21代大統領選挙では李大統領が直接戦作権転換問題に言及することはなかった。李大統領は10日に国家安保会議(NSC)全体会議を開いた際、戦作権転換の歴史や概念などを尋ねて関心を表したという。
--戦作権転換は有利な交渉カードか。
イエス、ノーと断言するのは難しい。トランプ政権は米国の費用を減らし、同盟の負担をさらに増やしながら中国に効率的に圧力を加える「戦略的柔軟性」を海外駐留米軍に突きつけようとしている。在韓米軍縮小の声もこうした脈絡から出てくるが、これは韓半島(朝鮮半島)危機時に韓国が独自で対応できるという判断の下で可能だ。「韓国防御は自らするべき」という孤立主義基調のトランプ政権が戦作権転換に関心を見せるかもしれない。ただ、条件を満たせない戦作権転換時の安保の空白などを考慮すると、これを交渉カード化すること自体が危険だという指摘が多い。
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