12・3非常戒厳に関連して特検の捜査を受けている尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が9日、ソウル瑞草区(ソチョグ)ソウル中央地方法院(地裁)で開かれた拘束前被疑者審問(令状実質審査)が終わった後、裁判所を後にしている。[写真共同取材団]
ソウル中央地方法院(地裁)のナム・セジン令状専門担当部長判事は10日午前2時ごろ「証拠を隠滅する恐れがある」として尹氏の拘束令状を発付した。この日午後2時22分ごろから非公開に行われた拘束前被疑者審問(令状実質審査)は休廷を挟んで6時間40分後の午後9時ごろに終了した。
歴代最長だった2017年3月30日の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の8時間40分の審問記録には至らなかったが、異例の長さだった。審問が長時間に及んだのは内乱特検チームの精鋭検事と尹氏本人を含めて弁護団が総出動して特検が請求した5つの犯罪容疑の立証の有無と拘束の必要性を巡り攻防戦を繰り広げたためだ。
◇検事10人が分野別178ページのPPTプレゼンテーション
この日特検チームでは朴億洙(パク・オクス)特別検事補をはじめとして金正局(キム・ジョングク)、趙宰鉄(チョ・ジェチョル)部長検事など計10人の検事が審問に参加した。金正局、趙宰鉄部長検事の2人は先に行われた2回の尹氏召喚調査を主導した検事だ。これに対抗して尹氏側からは、金洪一(キム・ホンイル)、裵輔允(ペ・ボユン)、蔡明星(チェ・ミョンソン)、ソン・ジノ、崔志宇(チェ・ジウ)、劉貞和(ユ・ジョンファ)、キム・ゲリ弁護士など7人が弁論に出た。
特検チームの趙宰鉄部長検事はこの日の審問で「4・19革命など血なまぐささの伴う努力で成し遂げた民主主義を非常戒厳で40年後退させた」として拘束の必要性を主張した。これに対して尹氏も20分間の最終陳述で「非常戒厳は民主主義を後退させるためのものではなく、野党の立法暴挙に対する警告用戒厳だった」と反論した。
検事10人は分野別に手分けしてリレー形式で合計178ページ分のパワーポイント(PPT)プレゼンテーションを行った。プレゼンテーションには尹氏の犯罪の重大性、再犯の危険、証拠隠滅の懸念などが含まれ、特に昨年12月3日非常戒厳直前の国務会議招集・開催過程を撮影したカメラ映像など主要な証拠が含まれた。これとは別に特検チームは300ページ分の意見書を裁判部に提出して容疑立証に注力した。
これに先立ち特検チームは6日、裁判所に提出した66ページ分の令状請求書に特殊公務執行妨害や秘話フォン(暗号化電話)通信記録削除指示疑惑の他にも、戒厳宣言以降にカン・ウィグ大統領秘書室第1付属室長が作成した「事後戒厳宣言文」関連容疑、すなわち虚偽公文書作成および行使、大統領記録物法違反、公用書類損傷容疑を追加した。尹氏が戒厳宣言直前に開いた国務会議に任意で選定した国務委員だけを呼び、出席できない国務委員の戒厳宣言審議権を侵害したという職権乱用容疑、非常戒厳直後にハ・テウォン当時海外広報秘書官に「非常戒厳が正当だ」という虚偽事実が入った外信用PG(メディア公報文)を作成させたというもう一つの職権乱用容疑も含めた。
特検チームは「尹氏が事後虚偽公文書作成や秘話フォン(記録)削除など拘束理由に該当する証拠隠滅を実際に犯した」とし、拘束捜査の不可避性を強調した。金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官、ノ・サンウォン前情報司令官、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前防諜司令官、ムン・サンホ前情報司令官など内乱の主要被告人がすでに拘束された状態で裁判を受けている点を挙げて、内乱首謀容疑がもたれている尹氏も公平を期して拘束状態で裁判を受けるべきだとも述べた。
尹前大統領、124日ぶりに再拘束…特検速度戦が通じた(2)
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