米国ニューヨーク・タイムズスクエア電光掲示板のLGエレクトロニクスのキャンペーン映像。[写真 LG電子]
7日、LGは4-6月期の暫定実績を公示した。売上高20兆7400億ウォン(約2兆2000億円)・営業利益6391億ウォンで、それぞれ昨年同期比4.4%・46.6%減だった。証券界は同社が前年同期比25~29%ほど減った8500億ウォン前後の営業利益を上げると予想したが、実際の成績表は予想よりも低調だった。
同社は実績に対して「主要市場における消費心理の回復が遅れる中で、米国通商政策変化が関税費用負担と市場内競争深化につながった」と説明した。生活家電(洗濯機・冷蔵庫)事業と電装(電気自動車部品)・冷暖房空調(HVAC)事業は善戦したものの、テレビの需要が萎縮して液晶表示装置(LCD)調達価格およびマーケティング費用が軒並み上昇して収益性を阻害したという。
◇中国税率のほうが高いのに、なぜLGテレビが打撃を?
産業研究院によると、世界のテレビの58%は中国産であり、トランプ政府はここに41.4%の関税をかけた。米国は中国産冷蔵庫・エアコンには55%、洗濯機には38%台の関税をかけている。
LG・サムスン電子のような韓国企業は米国に輸出するテレビを主にメキシコで製造しているが、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によりメキシコ産テレビの関税はまだ0%だ。「トランプ政府が中国に高率の関税をかけるため、韓国製家電が反射利益を受けるかもしれない」という予測が一部から出た背景だ。
しかし蓋を開けてみると、LGテレビの打撃は大きかった。産業研究院のキム・ジョンギ上級研究委員は「個別国家に対する関税率よりもテレビ市場の需要要因のほうが大きいとみられる」とし「グローバル家電需要が回復しない状況で通商政策に伴う不確実性が高まったことを受けて、消費心理が急激に萎縮した影響」と説明した。
業界では韓国テレビの原価構造も影響を及ぼしたとみている。LG・サムスンは中国勢と価格競争をしなければならないLCDよりも技術格差を維持できる有機発光ダイオード(OLED)中心に事業を進めている。しかし依然とグローバル市場ではLCDテレビの需要が大きいため、LGは中国BOE社からLCDパネルを購入して使用している。4-6月期のLGテレビ事業部原材料購入費の38%がLCDモジュール購入費だった。LGは冷蔵庫・洗濯機の主要部品であるモーター・コンプレッサーのような主要部品は自社で製造している。核心部品の技術格差と価格決定権で、冷蔵庫・洗濯機事業よりもテレビ事業の脆弱性が現れる部分だ。
◇下半期データセンターHVACに集中
下半期には鉄鋼派生関税(冷蔵庫・洗濯機などに50%)の影響が本格化する。消費者(B2C)家電事業で収益性を守ると当時に、データセンター用HVACや電装のような企業間取引(B2B)事業でどれくらい補完するかがカギとなってくる。その他にも、機器を売らなくても反復的な売上を確保するサブスクリプション・ウェブOS事業などで「質的成長」に集中する計画だ。
LGは「主力生活家電製品がプレミアム市場支配力を力強く守っていて、製品とサービスを結合したサブスクリプション事業も成長中」としながら「昨年下半期と比較して物流費負担がやや軽くなる見通しなので、関税の影響を最小化して健全な収益構造を確保するべく注力したい」と明らかにした。最近、買収契約を締結した欧州温水ソリューション企業OSOの買収を完了させて欧州冷暖房空調市場攻略を本格化する考えだ。
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