現代自動車は仁川空港公社と協力し、仁川空港第1ターミナルと第2ターミナル間の15キロメートル区間にロボシャトルを運行する。イ・スジョン記者
時速80キロメートルの高速走行道路に入るとロボシャトルは「自分の判断」により、徐行していた前の車を追い越した。左側のウインカーを付けると第2車線から第1車線に車線を変更して軽くバスを追い抜いて第2車線に戻った。初心者ドライバーよりもロボシャトルの方が度胸が大きく見えた。
ただ問題は予想できないところで発生した。第2ターミナルから第1ターミナルに戻る区間を出発して5分で現在の走行状況を教える自動運転装備がひとつふたつと消え始めた。結局運転席に座っていた補助ドライバーが自動運転モードを中断して手動走行に転換した。ロボシャトルは現代自動車の大型バン「ソラティ」を改造し、ライダ、レーダー、カメラなど20以上の装備と自動運転制御システムを搭載して運行するが、走行中にバッテリー発電機問題で電圧が低下して自動運転装備の電源が切れたのだ。
現代自動車は「補助ドライバーがいて安全問題はなかった。今回の状況はバッテリー発電機の問題であり自動運転技術とは関係ない」と説明した。しかし業界関係者は「車と自動運転機能を最適化するのは基本なのに、システムが消えたということは設計に問題があるとみるべき」と指摘する。
現代自動車グループは韓国では子会社の42ドットと南陽研究所を中心に、米国では子会社モーショナルを中心に自動運転技術を開発中だ。2022年に現代自動車グループが買収した42ドットは昨年末にソウルの清渓川(チョンゲチョン)一帯を走行する自動運転シャトル事業を中断し、SDV(ソフトウエア中心車両)開発に集中している。現在100個以上搭載される車両制御装備を最小化してソフトウエアで統合制御する車両を開発し、来年までに「SDVペースカー」を発表する計画だ。これを基に2027年までに「レベル2+」の自動運転を商用化する計画を3月に出した。
自動運転レベル2はドライバー補助システムで、通常レベル3からを自動運転とみるが、この中間段階の新製品を発表するという話だ。現代自動車出身の自動運転業界関係者は「海外ではレベル4技術の商用化に成功した企業がすでに出ている状況で、レベル2+段階の商用化計画は速い方ではない」と話す。
2022年に現代自動車グループが米国の自動運転企業アプティブと合弁投資したモーショナルは米国でロボタクシーのテストサービスを中断し自動運転商用化計画を来年に延期した。2兆ウォン以上を投資して昨年6600億ウォンほどを有償増資したのに続き、5月の理事会でも増資を承認するなど資金を投じ続けているが、依然として大きな進展は見られない。
◇「韓国、スタートアップ中心に自動運転市場育てる…政府レベルの支援必要」
業界関係者は「自動車メーカーの立場では、韓国では自動運転に対する社会的な合意や規制が整理されておらず、商用化に消極的にならざるをえない。速い自動運転技術ではなく安全を優先するという戦略的判断かもしれない」と話した。
ロボタクシーサービス競争がすでに始まっている米国や中国と違い韓国は限定された路線を運行する公共交通シャトル形態で自動運転が進められるだろうとの見通しが出ている。技術力だけでなく、車を開発・運行できる資本力で韓国が大きく押されているという評価だ。グーグル系列会社であるウェイモは昨年10月に56億ドルを誘致し、累積投資金だけで111億ドル以上だ。
大企業も停滞した状況で韓国はスタートアップが政府支援事業で自動運転市場を広げている。韓国で最も多い820億ウォンの投資金を誘致したスタートアップはソウルと京畿道安養(キョンギド・アニャン)などの地域で自動運転バスサービスを試験運営するであるオートノマスA2Zだ。同社のユ・ミンサン最高戦略責任者(CSO)は「ウェイモのように韓国でロボタクシーを1000台走らせられる企業はない。国民が体感できるように普及するには電気自動車補助金のように政府レベルでの支援が必要だ」と話した。規制環境も改善されなければならない。ユCSOは「3月からレベル4の自動運転車の性能認証制度が実施されたが、リモート走行を禁止している現行法が変わらなくては無人自動運転に進むことができない」と話した。
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