◆サウスウエスト航空の楽しい文化

サウスウエスト航空は、職員が楽しみながら働く文化が競争力の源泉として作用している代表的な企業だ。浮き沈みが激しい航空産業で４７年連続黒字となったのは、明るく楽しく仕事をする職員の姿が顧客のサービス品質評価と満足度にプラスに作用した影響が大きい。サウスウエスト航空はユーチューブで、機長・乗務員をはじめ、航空機整備士、貨物管理者が自身の業務を紹介して楽しく働く日常を伝えている。子どもの乗客が置き忘れたクマのぬいぐるみを探すために東奔西走したエピソード、ハリケーンで家族を亡くしたペットを救出した話などを扱った映像は、職員が自分の仕事をどれほど心から愛しているかを感じさせる。


米国の食品流通会社トレーダー・ジョーズも仕事を愛して楽しむ職員で有名だ。多くの人々はトレーダー・ジョーズの職員がなぜいつも元気で親切なのかを知りたがっている。クルーメンバーと呼ばれる職員らは、人と接して対話することを心から楽しむどうかをチェックする数回の面接を経て採用される。ソーシャルメディアには売り場でワインやデザートから映画、宗教などさまざまなテーマで楽しい雑談をしたという顧客のコメントが多い。情熱的に仕事をする職員らがオフライン販売を固守するトレーダー・ジョーズの顧客確保の秘訣ということだ。


大型書店バーンズ・アンド・ノーブルは最近、成長を回復したが、これは本を愛する職員が顧客と意思疎通をして深い関係を構築した効果が大きい。オフライン店舗を拡張して職員を選抜する時にも読書に対する情熱とその背景に関する質問を優先視したという。本と読書を心から愛して楽しむ職員が選んだ推薦図書を手書きの文字で紹介するなど独立書店式の戦略を適用し、近所の書店としての位置を確立するという目的だ。

◆韓国は仕事と楽しみと距離が大きい国

韓国は仕事と楽しみの距離が大きい国の一つだ。ギャラップが実施した２０２１年の国別ウェルビーイング調査で、自分の仕事を楽しむ人の比率は日本が８３％、米国が８０％、中国が７８％だが、韓国は６５％にすぎなかった。２０２４年の報告書によると、仕事をする時、韓国人の１７％は怒りを、１３％は悲しみをよく感じるという調査結果だったが、アジアで中国に次いで高い水準だ。多くの施設と福祉恩恵で働きやすい環境を作るほど、仕事自体に対する興味と楽しみにも大きな関心が必要だ。本人が担当する仕事を本当に楽しむ職員の姿は、顧客の評価を高め、ブランドイメージを強化するのに通常の広告よりも有効だ。楽しみのような情緒的価値を込めた人間の労働はＡＩと自動化技術では代えられない領域でもある。

チェ・スンファ／同徳女子大国際経営学科教授


【コラム】職員が仕事を楽しむのが競争力…韓国人１７％は仕事で怒り（１）