ＨＢＭはＧＰＵとともにパッケージングするため、最初に最適化に成功したＨＢＭ製品が「標準」となった。遅れて「私たちの製品も使ってほしい」という企業のためにエヌビディアやＴＳＭＣが設計・工程を変えるわけはなかった。サムスンは「オール・オア・ナッシング」というＨＢＭ市場原理に一歩遅れて向き合った。２０２３年にメモリー寒波が遅い、サムスンのＨＢＭ問題が表面化した。同年サムスン半導体は毎四半期に営業赤字を出したが、ＨＢＭ需要の爆発でＳＫハイニックスは年末から売り上げが急増した。

サムスンは２０２４年の全永鉉（チョン・ヨンヒョン）ＤＳ部門長（副会長）の就任後にＨＢＭ開発チームを大挙補強した。しかし複数の関係者によると、サムスンのＨＢＭ３Ｅ（第５世代）のエヌビディア納品はクオリティの次元を離れいまは単価の問題になった。ＳＫハイニックスだけでなくまた別の後発走者のマイクロンまでいる状況でエヌビディアがサムスンに良い値段を出す理由がないためだ。製品力が圧倒的でないならばジェンスン・フアンの価格手なずけから抜け出し難い。


◇標準のインテル、特性のエヌビディア＝「サムスンは設計を新しくしなければならない」。１月のＣＥＳ２０２５でフアンＣＥＯはサムスンのＨＢＭについてこのように話した。


しばらくは「サムスンのＨＢＭは後工程が問題」という主張が大勢だった。しかし昨年５月の全永鉉ＤＳ部門長就任後に雰囲気が変わり、同年秋に全氏は「ＤＲＡＭ開発方式を原点から見直しなさい」と指示した。その後フアンＣＥＯも「サムスン設計問題」に言及したのだ。年末にサムスングローバルリサーチ経営診断室は過去のＨＢＭ開発過程を監査し、その後問責性人事も行われた。

サムスン電子の元役員はこのように指摘する。「ＤＲＡＭが間違っていたということは、サムスンの『コスト中心』戦略が間違っていたということだ。決められた生産コストに合わせてＤＲＡＭを設計すれば電力や熱のような特性を犠牲にすることになる」「インテルが詳しい説明書をばらまくとすれば、エヌビディアは大きなビジョンだけ見せる。『標準通りに作れば良い』という時代はもう来ないだろう」。

大量生産能力で汎用メモリー市場を圧倒したサムスンの戦略はＨＢＭのような高付加価値メモリーには合わないという話だ。また、インテルの中央処理装置（ＣＰＵ）の時代には技術標準と汎用性・互換性が重要だったが、エヌビディアはＡＩシステムの性能を高めるために独自技術を使うため、メモリーも技術的多様性と柔軟性が必要ということだ。

◇ＨＢＭの未来は＝世界半導体市場統計（ＷＳＴＳ）は今年のメモリー半導体成長率を１１．７％、来年は１６．２％とし、今年１１．２％、来年８．５％が予想される半導体市場全体の成長より高いとの見通しを示した。ＫＡＩＳＴ電気電子工学部のキム・ジョンホ教授は「ＡＩコンピューティングで最も忙しいのはＨＢＭ」とし、ボストン・コンサルティング・グループのパートナー、キム・チャンウク氏は「最小１０年間はＨＢＭなしでＡＩ学習・推論をする方法はない」と話す。

ＨＢＭ市場は有望だが問題は韓国が得られる部分だ。ＤＲＡＭ３位の米マイクロンは１１日、ＨＢＭ４（第６世代）のサンプルを顧客に提供し始め、昨年から台湾にＨＢＭ設備投資を増やしている。台湾にエヌビディア、ＴＳＭＣ、マイクロンの三角編隊が構成されることになる。成均館（ソンギュングァン）大学化工学部のクォン・ソクチュン教授は「ＴＳＭＣやエヌビディアが独自にメモリー供給網を作るならば韓国に牽制する方法はないのが事実」と診断した。

いま韓国メモリーはＡＩ時代に「代替不可能な存在」になるか、「供給会社のひとつ」になるかの岐路に立たされた。インダストリーアナリストのイ・ジュワン氏は「設計能力を高めてシステム半導体企業と対等なパートナーにならなければならない」と話した。クォン教授は「次世代メモリー国家研究開発プログラムを拡充し、メモリーファブレス（設計専門）が出てくるよう公的に運営されるメモリーファウンドリーを作らなければならない」と提案した。


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