「今回の奇襲はブラックスワン（Ｂｌａｃｋ　Ｓｗａｎ、黒い白鳥）でなくグレーライノ（Ｇｒｅｙ　Ｒｈｉｎｏ、灰色のサイ）に近い」。

米シンクタンク「ハドソン研究所」のパトリック・クローニン・アジア太平洋安全保障部長は「ミッドナイトハンマー（真夜中の鉄槌）」作戦と命名された米国のイラン核施設空襲について、２２日（現地時間）に行われた中央日報のインタビューでこのように評価した。「予測できない突発的リスク」を意味するブラックスワンでなく、「十分に予想されていたが放置していたリスク」である灰色のサイということだ。イランが数十年間にわたり域内の低強度紛争を継続し、同時に核開発の野心も着実に膨らませてきた結果だとしながらだ。


「２週間の交渉期間」メッセージを出したトランプ米大統領が２日後にイラン核施設空襲という軍事決断をした背景、中東内の紛争拡大の可能性、韓半島（朝鮮半島）安保地形に及ぼす影響などを聞くため、中央日報は米国の代表的な外交安保専門家７人にこの日、緊急インタビューした。その結果を主要争点５つを選んで問答形式で整理した。


＜１＞トランプ大統領の参戦決断

米ホワイトハウス国家安全保障会議（ＮＳＣ）アジア担当補佐官を務めたジョージタウン大のデニス・ワイルダー上級研究員は「トランプ大統領が外交を通じてイランの核野望を制限しようとする数年間の努力が失敗した結果、もう核プログラムを断念させる時だと決心したようだ」と分析した。かなり進展したイランの核能力がトランプ大統領の決断の引き金を引いたということだ。

米特殊戦司令部作戦部の司令官を務めたアジア太平洋戦略センター（ＡＰＳ）のデビッド・マクスウェル副会長は「トランプ大統領が強調してきた外交路線『力による平和』と『抑止力の復元』の２つを実行に移した」と分析した。

政治的守勢に追い込まれたトランプ大統領の状況打開策という分析も出てきた。アイオワ州立大のマック・シェリー政治学教授は「ＴＡＣＯ（Ｔｕｍｐ　Ａｌｗａｙｓ　Ｃｈｉｃｋｅｎｓ　Ｏｕｔ、トランプはいつもおじけづいて逃げる）で強硬でないという印象を与えたトランプ大統領が『大きく美しい法案』など主要立法課題で深刻な困難に直面する状況で、外部に関心を向ける軍事行動を選択した」とし「トランプ大統領は国家危機で大統領を中心に強く団結する旗下結集（ｒａｌｌｙ　ｒｏｕｎｄ　ｔｈｅ　ｆｌａｇ）効果を狙った」と話した。

＜２＞イラン核施設、どれほど破壊されたのか

専門家らは正確な評価はまだ早いとしながらも、イランの核野望が終息したとは見なしがたいと述べた。国際原子力機関（ＩＡＥＡ）事務次長出身の核不拡散専門家、スティムソンセンターのオリ・ハイノネン特別研究員は「イランが隠している核施設がないという保証がない限り、核活動を中断したと結論づけるのは早い」とし「イランが持つ６０％濃縮ウランを武器級（９０％濃縮）に引き上げるのは数日間で十分だ」と強調した。

ロバート・アインホーン元米国務次官補（核不拡散担当）も「今回の空襲はフォルドゥ、ナタンズのウラン濃縮施設を相当期間無力化させることが可能だが、イランは濃縮ウランの在庫をすでに秘密施設に移した可能性が高い」とし「イランの核兵器の脅威は続く」と予想した。特に「むしろ今回の空襲でイランが核兵器保有の必要性をより一層強く感じることになるだろう」と話した。


米外交安保専門家７人が診断　「米国の奇襲、ブラック・スワンでなく灰色のサイ…挑発繰り返す金正恩に衝撃」（２）