キム・デシク常務は「年間最大70隻(280万トン)を建造するハンファオーシャンの場合、今年の入社競争率が8倍にのぼるほど青年の造船業進出意志が高く、経済活性化に役立つはず」と述べた。 ソン・ボングン記者
この求愛に応じて注目を引く成果を出している造船企業がハンファオーシャンだ。昨年8月と11月に米海軍弾薬支援艦「ウォリー・シラー」と給油艦「ユーコン」の維持・補修・整備(MRO)を相次いで受注し、韓国造船企業が米海軍のMROを引き受けた最初の事例となった。「ウォリー・シラー」の場合、隠れていた欠陥まで見つけ出して迅速に修理し、半年間で引き渡すと、米海軍の好評を受けた。「ユーコン」も半年後となる来月引き渡す予定だ。ブランソン在韓米軍司令官は15日、ホノルルで開かれたシンポジウムで「(韓国は)日本と中国の間に浮かぶ固定空母」とし、「ウォリー・シラー」「ユーコン」の整備に言及しながら「韓国の(軍艦)生産施設とMRO力量は米軍のインド太平洋活動に大きく役立つはず」と述べた。米軍司令官が同盟国の造船企業を公開的に称賛したのは異例だ。米国防当局が韓国をMROパートナーとして公認したということであり、同盟強化の側面でも意味が大きい。
ハンファオーシャンのMRO総責任者、キム・デシク常務と会った。1996年に大宇造船に入社してから30年間、設計から経営まで船のすべてを経験した「造船マン」だ。
--米国の韓国造船に求愛する背景は。
米中競争が核心の原因だ。現在、中国の戦闘艦は350隻にのぼるが、米国は290隻にすぎない。中国は艦艇を建造する大型造船所が35カ所もあり、1年に15隻以上も軍艦を建造するが、米国は造船業が衰退して年に5、6隻しか建造できず、建造期間も1-3年ほど遅延し、中国に差をつけられ始めた。それでバイデン大統領の時期から造船業が発達した同盟国の韓国に「外注」を与え、中国との建艦競争で勝つという構想を実行し始めた。これに歩調を合わせてハンファオーシャンも2023年5月にMRO組織を作った。
--米国造船業が衰退した理由は。
造船業は屋外での労働であり、安全上の問題も多く、船ごとに外形や機能が異なるため自動化が難しい。さらに(米国人の)製造業離れで人材不足が深刻だ。部品もモデル別に定形化された自動車とは違って船ごとに異なり、製造装備も数千億ウォン台と高価だ。したがって普通30-40年運航する船に必要な部品の生産が中断していたりする。船の使用年数が20年を超えている米海軍の艦艇がまさにそのような状況にあり、問題が多い。さらに米国内を運航する船舶は米国に位置または米国人所有施設で建造されるべきというジョーンズ法のため米造船業の競争力が急落した点も、米海軍艦艇の老朽化の原因になった。
--では、韓国の造船所が米海軍艦を建造することになるのか。
米国法上、軍艦の建造はまだ難しく、弾薬・油類を補給する「ウォリー・シラー」「ユーコン」など軍需支援艦の整備がまず可能な対象だ。ともに4万トン級の大型艦だが、5年周期で船全体を修理するMROを国内造船業で初めて立て続けに受注した。「ウォリー・シラー」は昨年7月にMSRA(Master Ship Repair Agreement)という米海軍の厳格な整備造船所認証を受け、受注に成功した。審査に普通1年かかるが、7カ月で終わった。我々の造船所の設備と設計・技術力、人材などを詳細に確認した。軍艦・潜水艦・高付加価値船の開発と約1800隻の大型船舶製造実績も選定の要因になった。
--その後は。
受注認証を受ける1カ月前に米海軍側が「あなたたちが認証されるはずだから、あらかじめ『ウォリー・シラー』のMROに入札するのはどうかという提案があった。すぐに準備に入って落札したが、問題が生じた。米海軍艦は米船級協会(ABS)の認証を受けてこそ運航が可能だが、「ウォリー・シラー」は入札当時、認証残余期間が5日しか残っておらず、船がすぐに我々の造船所に入ってきた。本来は1カ月間の準備期間の後に船を迎えるが、そのような時間もなく、すぐに整備を開始しなければならなかった。このため整備期間が2カ月ほど長くなり、契約した金額より倍に収益が増えた。米海軍は「急いで船を入庫したが、迅速な修理はもちろん、隠れた欠陥まで解決され、完璧に整備が完了した」と言って感謝していた。
--隠れた欠陥とは何か。
約15年経過した船だったが、核心部品の方向舵(Rudder)の損傷が激しかった。水中にあり見えにくい部品だが、我々のエンジニアが見つけ出した。本来なら米国の製作会社に送って修理したり、新しいものと交換しなければならないが、その場合2、3カ月の時間がかかり、費用も増える。これを我々が「逆設計」で解決した。外観だけを見て直接設計図を作った後、毀損部位を復元した。何でも直接設計して作る技術があるため、短時間に低費用で解決できる。
--米海軍の反応は。
親指を立てて好評していた。米海軍太平洋司令部ホームページ(CFP.MIL)は「韓国のエンジニアは破損した方向舵を逆設計で完全に修理した。多くの時間と資源が節約された。企業のサプライチェーンと技術・人材が優れている証拠」と称賛した。発注した米海軍輸送船司令部(MSC)も「今まで管理した艦艇のうち最高」と評価した。
米国、韓国造船企業に積極的求愛…「米海軍艦艇の隠れた欠陥まで修理して好評」(2)
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