17日午前、光州市光山区の錦湖タイヤ光州工場で火災が起こり黒い煙が立ち上っている」[写真 聯合ニュース]
光州消防本部によると、19日午後2時現在の鎮火率は95%に達するが、工場各所に残り火がみられる。消防当局は前日崩壊が進んだ工場裏手で消防隊員と掘削機などを投じて残り火の鎮火に総力を注いでいる。
消防当局は鎮火率が前日に90%を超えた状態でも残り火が消えていない理由として、タイヤの材料を挙げている。薄い生地を丸く巻いたタイヤ材料が燃料となり燃えているという説明だ。タイヤを作る材料は焼けても灰にならず、溶岩のように火を含み再発火する特性を持っている。
◇床が50センチ崩壊…消防隊員全員脱出
消防隊員が進入しにくい工場内部60~80メートル区間で火が燃えているのも鎮火が困難な理由だ。消防当局は残り火の地点まで距離が遠い上に人命被害の恐れがあり、特殊装備を動員して残り火を消している。この日午後には工場内2~3階の床が50センチメートルほど崩壊し、現場に投入された消防隊員が全員脱出したりもした。
消防当局関係者は「掘削機を利用して溶岩のように残ったタイヤ材料の山を解体した後に消防隊員が水をかける方式で消火している。ゴムが積もった部分に火種が残っている状態のため今晩中の完全鎮火を目標に残り火を整理している」と話した。
火災が3日間続き、生ゴムと引火物質燃焼にともなう粉塵が飛び光州全域に煙のにおいが広がるなど2次被害も続出している。
光州光山区(クヮンサング)によると、この日午後2時基準で工場火災被害と関連し合計326件の通報が寄せられた。前日まで工場周辺のマンション住民97世帯182人が光州女子大学の体育館に避難した。火災は17日午前7時11分ごろに錦湖タイヤ光州工場の原材料製錬棟で起こった。避難中に20代の従業員1人が転落し頭と腰などに重傷を負い、消火作業をしていた消防署員2人も負傷した。
◇市民「煙で咳や頭痛」訴え
被害通報のうち153件は人的被害、106件は物的被害、67件はその他被害だった。受人的被害は目まいや咳、頭痛などを訴える身体的被害で、物的被害は居住地のベランダや車への煤煙や粉塵被害だった。その他の被害は火災現場から吹きだす煙と火災による営業補償などだ。
栄山江(ヨンサンガン)流域環境庁などによると、錦湖タイヤで火災が発生した17日午前に大気から1級発がん物質であるエチレンオキサイドが基準値以下の少量が検出されたが、夜からは有害化学物質は検出されていない。
光州市は火災が完全に鎮火しても1~2週間は大気質測定とモニタリングを継続する方針だ。高い上空まで噴き上げられた科学物質が粉塵となり遠くへ分散し、汚染物質が都心全体に影響を及ぼしかねないという懸念が出ているためだ。
2023年3月にハンコックタイヤ大田(テジョン)工場で発生した火災では、周辺住民の呼吸器疾患発生を高めたという研究結果が出ている。ハンコックタイヤ工場火災は58時間で約21万個のタイヤを焼き、多くの有害物質が大気中に放出された。
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