ソウルのサムスン電子社屋にサムスンの旗がはためいている。[写真 ニュース1]
サムスン電子は14日、英国系ファンドのトライトンが保有するドイツのフレクトグループの株式100%を買収する契約を締結したと明らかにした。サムスン電子は昨年末から買収を推進しており、海外の競合企業を押さえ取引を成功させた。買収手続きは年内に終える予定だ。
ドイツ西部ヘルネに本社を置くフレクトは1918年に設立され100年以上の歴史を持つ世界的空調企業だ。工場クリーンルーム、データセンター、病院、海洋プラントなど安定的な冷房が必須である施設に合わせた空調ソリューションを提供する。60社以上の大口顧客を持ち、年間7億ユーロ規模の売り上げがある。
サムスン電子は「生成人工知能(AI)、ロボット、自動運転、拡張現実(XR)などの拡散によりデータセンター需要が持続的に成長することを予想し、世界的空調企業を電撃買収した。サムスンのビルディング統合制御ソリューションとフレクトの空調制御ソリューションを結合し、安定的ながらも収益性が高い事業の拡大を期待する」と説明した。フレクトは「データセンター業界のオスカー賞」と呼ばれるDCSアワード2024で革新賞を受賞するほどデータセンター部門での立地を確保している。データセンター関連空調市場は2030年まで年平均18%成長すると予想される。
今回の買収でサムスン電子はこれまで強みを持っていた家庭用と商業用のシステムエアコン中心の個別空調に加え、空港、ショッピングモール、工場、データセンターなど大型施設対象の中央空調までポートフォリオを強化する計画だ。昨年5月には米レノックスと合弁法人を設立し北米市場攻略を強化した。同社の盧泰文(ノ・テムン)デバイス経験(DX)部門長代行(社長)は「高成長が予想される空調事業を未来成長動力として育成していきたい」と明らかにした。
サムスン電子が8日にマシモのオーディオ事業部を3億5000万ドル(約513億円)で買収したのに続き1週間ぶりに新たな買収の便りを伝え、買収合併にさらに積極的に出るだろうという見通しも出ている。同社が9年前に80億ドルでハーマンを買収してから、李在鎔(イ・ジェヨン)会長の司法リスクなどで大規模な買収合併はストップしていた。
昨年からサムスン電子はレインボーロボティクス、オックスフォード・セマンティック・テクノロジーズ、ソニオなど、ロボット、AI、医療機器スタートアップを買収したり株式投資して買収合併に力を入れ始めた。3月のサムスン電子株主総会で韓宗熙(ハン・ジョンヒ)副会長は「今年有意味な買収合併を推進し具体的成果を出す」と明らかにした。業界関係者は「買収直後には成果を出せなかったハーマンがいまではサムスンの家電事業ほどの営業利益を出すほど成長し、会社も買収合併に自信がついた状態」と話した。
サムスン電子は電装や空調など企業間取引(B2B)事業の買収合併に集中する傾向だ。消費者販売(B2C)中心の完成品事業の成長性が最近限界に至った中で、B2B分野で新たな動力を探すとみられる。サムスン電子関係者は「新成長分野、未来技術分野など会社が革新できる領域を中心に買収合併を継続する」と話した。この日サムスン電子の株価は前日比0.88%上昇し5万7400ウォンで取引を終えた。
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