◆輸入比率が低い品目の非関税障壁を撤廃
歴史的に金利政策に対する協力を見ると、米国は1987年のルーブル合意で日本の低金利政策と主要6カ国(G6)の拡大財政政策を中心とするマクロ経済政策協力を推進したことがあった。日本やドイツなど先進国が拡大政策を使って世界景気を牽引させる、いわゆる「機関車政策」で、グローバル景気沈滞と基軸通貨ドルの過度な下落を防ごうとしたのだ。このように見ると、米国は今回もドル安のために金利をはじめとする通貨政策への協力を提案する可能性がある。政策当局は国内通貨政策の独立性を維持する方向でこれに積極的に対応しなければならない。
対米貿易の黒字幅が過度に減らないようにすることも必要だ。今回のトランプ政権の関税政策の目的は米国の貿易赤字を減らすことだ。したがって対米貿易黒字国との交渉で最も重要な課題は貿易相手国の黒字幅を減らすことにある。実際、最近の日本との交渉でトランプ大統領は対米貿易黒字をゼロにすることを提案した。
トランプ1期目当時、韓国は対米貿易黒字を200億ドル台から100億ドル台へと半分ほど減らした。昨年、韓国の対米黒字幅は600億ドル台に達した。過度な黒字幅の縮小は経常収支を悪化させ、成長率を鈍化させるという点で警戒しなければならない。対米貿易黒字を減らすためには輸出減少よりもエネルギーや農畜産物の輸入増加に焦点を置く必要があり、輸入比率が高くない品目の非関税障壁を果敢に撤廃し、その代わりに輸出の比率が高い自動車と半導体などで関税を引き下げる戦略が求められる。
◆関税後の為替戦争、効果的に管理すべき
中国に対する通商戦略も重要だ。韓国の対中国輸出比率は20%に達する。米中が今のように覇権競争をする前には、米国と中国との貿易で同時に黒字を出しながら成長することができた。しかし今は経済・政治環境が変わった。中国の技術力の発達で対中国貿易収支が悪化していて、代わりに米国との貿易で黒字幅が増えている。米中間の葛藤構造の下で中国との経済協力を強化する場合、米国との貿易紛争が強まることが懸念される。変化した貿易環境に対応する政策当局の精巧な戦略樹立が必要だ。
韓米関税交渉はその影響が大きいと予想される。関税で輸出が減少する場合、そうでなくとも内需が沈滞している韓国経済は長期沈滞に陥ることが考えられる。また関税戦争が為替戦争につながり、貿易収支を悪化させ、外貨保有高が減少し、通貨危機に露出することもある。特に今回の関税交渉は米中覇権競争と貿易紛争中に進行していて、その影響を予測するのが容易でない。中国の追撃で転換期を迎えている韓国経済が米国との関税交渉の影響から抜け出すためには、過度な成長率鈍化を防ぎ、関税戦争の後に訪れる為替戦争を効果的に管理しなければいけない。韓国経済が長期沈滞と経済危機を避けるために政策当局の適切な政策選択がいつよりも要求される時だ。
キム・ジョンシク/延世大経済学部名誉教授
【コラム】ウォン安になれば外貨準備高減少など影響拡大も=韓国(1)
歴史的に金利政策に対する協力を見ると、米国は1987年のルーブル合意で日本の低金利政策と主要6カ国(G6)の拡大財政政策を中心とするマクロ経済政策協力を推進したことがあった。日本やドイツなど先進国が拡大政策を使って世界景気を牽引させる、いわゆる「機関車政策」で、グローバル景気沈滞と基軸通貨ドルの過度な下落を防ごうとしたのだ。このように見ると、米国は今回もドル安のために金利をはじめとする通貨政策への協力を提案する可能性がある。政策当局は国内通貨政策の独立性を維持する方向でこれに積極的に対応しなければならない。
対米貿易の黒字幅が過度に減らないようにすることも必要だ。今回のトランプ政権の関税政策の目的は米国の貿易赤字を減らすことだ。したがって対米貿易黒字国との交渉で最も重要な課題は貿易相手国の黒字幅を減らすことにある。実際、最近の日本との交渉でトランプ大統領は対米貿易黒字をゼロにすることを提案した。
トランプ1期目当時、韓国は対米貿易黒字を200億ドル台から100億ドル台へと半分ほど減らした。昨年、韓国の対米黒字幅は600億ドル台に達した。過度な黒字幅の縮小は経常収支を悪化させ、成長率を鈍化させるという点で警戒しなければならない。対米貿易黒字を減らすためには輸出減少よりもエネルギーや農畜産物の輸入増加に焦点を置く必要があり、輸入比率が高くない品目の非関税障壁を果敢に撤廃し、その代わりに輸出の比率が高い自動車と半導体などで関税を引き下げる戦略が求められる。
◆関税後の為替戦争、効果的に管理すべき
中国に対する通商戦略も重要だ。韓国の対中国輸出比率は20%に達する。米中が今のように覇権競争をする前には、米国と中国との貿易で同時に黒字を出しながら成長することができた。しかし今は経済・政治環境が変わった。中国の技術力の発達で対中国貿易収支が悪化していて、代わりに米国との貿易で黒字幅が増えている。米中間の葛藤構造の下で中国との経済協力を強化する場合、米国との貿易紛争が強まることが懸念される。変化した貿易環境に対応する政策当局の精巧な戦略樹立が必要だ。
韓米関税交渉はその影響が大きいと予想される。関税で輸出が減少する場合、そうでなくとも内需が沈滞している韓国経済は長期沈滞に陥ることが考えられる。また関税戦争が為替戦争につながり、貿易収支を悪化させ、外貨保有高が減少し、通貨危機に露出することもある。特に今回の関税交渉は米中覇権競争と貿易紛争中に進行していて、その影響を予測するのが容易でない。中国の追撃で転換期を迎えている韓国経済が米国との関税交渉の影響から抜け出すためには、過度な成長率鈍化を防ぎ、関税戦争の後に訪れる為替戦争を効果的に管理しなければいけない。韓国経済が長期沈滞と経済危機を避けるために政策当局の適切な政策選択がいつよりも要求される時だ。
キム・ジョンシク/延世大経済学部名誉教授
【コラム】ウォン安になれば外貨準備高減少など影響拡大も=韓国(1)
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