タス通信は29日、北朝鮮軍がクルスクのスザンスキー地区解放作戦に合流したとし実戦の動画を公開した。動画では北朝鮮兵がロシア兵とともに射撃をしている。[写真 タス通信]
ロシアのタス通信は29日、北朝鮮軍がロシアのクルスク地方でスザンスキー地区解放作戦に合流したとし実戦の動画を公開した。動画には北朝鮮兵がロシア兵とともに射撃したり旧ソ連を象徴する赤い旗をロシア国旗のそばに差す場面などが写っていた。両軍は捕獲したウクライナの戦車をめぐり研究したり、追悼の壁に献花し敬礼する姿も見せた。
米国は反発した。米国務省のブルース報道官はこの日の会見で、「北朝鮮の派兵は国連安全保障理事会決議違反であり、戦争を助長する行為。北朝鮮のような第三国の介入がロシア・ウクライナ戦争を持続させている」と批判した。また、ロシアが北朝鮮軍を訓練する行為も安保理決議1718号、1874号、2270号に違反したものとし、「ロシアと北朝鮮の軍事協力はすべて中断されなければならない」と強調した。
朝鮮労働党中央軍事委員会は前日に労働新聞などに送った書面立場文で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の指示によりロシアのクルスク地域に兵力が派遣されたことを公式に確認した。ロシア政府とロシアのプーチン大統領は26日に声明を通じて初めて派兵の事実を公式に認めた後、北朝鮮指導部に謝意を示した。
韓国国家情報院によると、ロシアに派兵された北朝鮮軍のうち死傷者は600人余りの死亡者を含め4700人に上ると推定される。
北朝鮮が戦争参戦を公式に認めた背景には、国際的な地位強化と宣伝効果、ロシアとの同盟を強調する意図があるとの分析が出ている。韓国統一研究院のホン・ミン選任研究委員は、「ロシアはクルスクでの勝利を通じて膠着状態だった交渉の局面転換を試みている」とメディアに話した。北朝鮮が米国に対する直接非難を控えトランプ政権との外交の可能性も念頭に置いたという見方も出ている。ロシアも今回のことを契機に「トランプ政権との交渉でレバレッジを確保しようとする戦略」とNKニュースが指摘した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日、ロシアとの戦争を公正な方式で終えるが「プーチンにいかなる補償もあってはならず、特に領土は絶対にありえない」と国際社会に促した。ロシアが停戦条件に掲げているクリミア半島、ウクライナ占領地4カ所の統制権認定は絶対に受け入れられないという立場を改めて強調したのだ。
朝ロの派兵認定後に初めて開かれたこの日の安保理会議で国際社会は「(派兵は)明白な安保理決議違反」(黄浚局韓国国連大使)であり犯罪だとより強く批判した。これに対しロシアのネベンジャ国連大使は「兄弟(北朝鮮軍)が勇猛に戦ってくれて感謝する」と話した後、派兵に問題はないと反論した。北朝鮮代表はこの日の会議に参加しなかった。
北朝鮮と密着するプーチン大統領は来月9日にロシアの第2次世界大戦対独勝利80周年記念軍事パレードに北朝鮮軍が参加する可能性も示唆した。彼は「さまざまな国を代表する軍部隊が赤の広場で開かれる軍事パレードにロシア軍と肩を並べて行進することをとても大切に思う。記念行事でさまざまな国の指導者を待っている」と明らかにしたとタス通信が伝えた。ロシアは昨年11月に北朝鮮に軍事パレード参加を呼び掛けている。
ただし金委員長はこの行事に参加しない可能性が高く、北朝鮮代表団が派遣されるものとみられる。
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