務安(ムアン)空港惨事現場で関係者が事故現場を見ている。 [聯合ニュース]
また飛行機の整備時間と整備人員を増やすなど航空会社の安全投資拡大案も推進される。一線で航空会社の安全管理状況を点検する航空安全監督官も拡充する。
国土交通部は29日、こうした内容を盛り込んだ「航空安全革新案」を発表した。惨事発生から4カ月が経過する間、航空安全革新委員会の活動と現場の意見聴取など通じて準備した案だ。
この日に発表された革新案は大きく「安全な空港造成」と「航空会社の安全管理強化」に分けることができる。まず安全な空港造成のために惨事の要因に挙げられる盛り土「ローカライザー(方位角施設)」を改善する。
務安、光州(クァンジュ)、麗水(ヨス)、浦項慶州(ポハン・キョンジュ)、金海(キムヘ)、泗川(サチョン)の6カ所の空港は年内完了を目標に推進し、済州(チェジュ)はH型鉄骨構造の特性を考慮し、構造分析の結果に基づき推進するかどうかを決める計画だ。
また、国際勧告基準(240メートル)に達しない務安・麗水空港など7カ所の空港の滑走路終端安全区域も追加で確保し、難しい場合は滑走路離脱防止装置(EMAS)を設置することにした。
鳥類衝突予防のための鳥類探知レーダーを今年下半期に務安空港で試験運用し、来年から仁川(インチョン)・金浦(キンポ)・済州空港など他の空港にも次々と導入する。現在、民間空港には1台もない。
運航回数が少ない空港でも鳥類衝突率が高ければ鳥類衝突予防担当者をさらに増やす。一部の相反する内容で論議を呼んだ空港の建設・運営基準も再整備する。
航空会社の安全管理強化案としては▼航空機整備時間の延長▼整備人員の拡充▼安全投資拡大の誘導▼運航証明制度の強化▼欠陥・遅延が多い航空会社の特別安全点検強化▼新規免許発行時の安全投資能力集中検討などが含まれた。
また死亡者を含む航空事故を起こした航空会社は輸送権配分対象から1年間除外し、安全確保の成果が優秀な航空会社は輸送権配分時に優先権を与える方針だ。
しかし惨事後に必要性が台頭した「航空安全庁の新設」と「航空鉄道事故調査委員会(事調委)の独立」が今回の案から抜けた。国土部はただ「多様なガバナンス改編案を議論していく」と話した。
専門家らは現在の国土交通部航空政策室傘下の航空安全政策官が安全業務を総括するのに伴う人員・予算・組織などの限界を解消するため、別途の航空安全庁を新設するべきだと要求してきた。
また、国土部傘下の組織のため「セルフ調査」と呼ばれる事調委を米運輸安全委員会(NTSB)のように独立させ、客観的な調査をする必要があるという意見も多かった。
このため専門家らは核心が抜けた革新案だと批判している。韓国航空安全技術院のファン・ホウォン院長は「持続的な議論と実現のためにも今回の該当案の推進を公式化するべきだった」と指摘した。
航空大のユン・ムンギル経営学部教授も「国土部内部の利害関係が合わない影響があるようだ」とし「国民の生命と直結するだけに航空安全組織の新設と事調委の独立は必ず実現させなければいけない」と話した。
実際、国土部内では別途の組織の新設に対する否定的な反応があるうえ、大統領選挙政局で該当案を推進する動力が落ちるという意見も多かったという。一部では航空職など特定職列に対する牽制心理が作用したという見方もある。
匿名を求めた国内航空会社の役員は「航空の安全では航空会社だけでなく関係機関、管制官などもすべて監督対象にならなければいけない」とし「そのためには実力のある専門家で構成された客観的で独立的な組織が必須」と述べた。
これに対し国土部のチュ・ジョンワン航空政策室長は「該当案は引き続き議論していく計画」と明らかにした。しかし航空業界の内外で国土部の意志と推進力に対する疑問も少なくないのが実情だ。核心部分を再び入れる努力を見せなければいけない時だ。
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