中国が西海の韓中暫定水域(PMZ)に昨年設置した「深藍2号」。[写真 厳泰永議員室]
◇中国「韓国と協力中…協定違反ない」
この日の対話には韓国外交部の姜英信(カン・ヨンシン)局長と中国外交部の洪亮局長が両国の首席代表として参加した。姜局長はこの席で、中国がPMZに漁業用養殖施設として2018年に「深藍1号」、昨年に「深藍2号」を設置し、2022年には石油ボーリング船を改造して管理補助施設名目の構造物を設置したことに対し問題を提起した。韓中の排他的経済水域(EEZ)が重なり境界画定交渉が依然進行中のPMZでは一方的な現状変更を招く活動を控えなくてはならない。
中国はこの構造物を「漁業用」と主張し、韓国海洋調査船の接近まで遮断している。中国外交部の郭嘉昆報道官は21日、「韓中漁業協定に基づき両国は暫定水域内で積極的に『協力』している」と明らかにした。
2000年に締結された韓中漁業協定はPMZでの漁業活動を許容している。しかし一方的な現状変更行為を明確に禁止はしていない。また、これに対する相手国の事前同意の義務や調査要求権限なども明確にせず「相互協力」だけ強調している。
◇技術流出を理由に調査拒否の可能性
中国がこうした協定の盲点を利用して構造物設置を一方的に進めたとみる余地がある。また、協定第7条には「韓中が暫定水域で漁業活動をする自国民と漁船に対して管理とその他必要な措置をし、他方の国民と漁船に対しては措置をしない」と明示されている。その上に構造物はPMZ内で韓国が主張する等距離原則に基づく中間線より中国寄りに位置しており、中国は近海での活動と主張する。
◇比例対応・法的検討本格化
だが韓国としては中国のこうした主張を額面通りに受け入れるのは困難という反応が支配的だ。今回の対話で少なくとも中国がこの構造物に対し「漁業用に限定して活用するだけで、今後軍事施設などその他目的に転用しない」と明言させる必要があるとの指摘が出る。
これと同時に韓国政府は中国の態度により韓国も同様の養殖施設をPMZ内に設置する案など段階別の比例対応を苦心している。海洋水産部をはじめとする関係官庁は施設設置にともなう予算編成検討にも出た。
当初、国連海洋法条約にともなう問題提起は難しいとの見方にウエイトを置いた韓国政府内の雰囲気も多少変わる雰囲気だ。政府消息筋は「深藍1・2号と管理補助施設が固定式なのかどうかに関係なく境界未画定区域で一方的に現状を変更する行為自体が条約の趣旨に外れる。法的な問題提起も十分に可能だが外交的解決をまず模索している」と説明した。
「海洋生物資源保存に向けた協力」を明示した韓中漁業協定により大規模養殖にともなう環境汚染への懸念を提起することも可能だ。ただ2月に韓国の海洋調査船も海洋汚染が懸念されるとして調査を試みたが中国側の拒否で不発に終わった。深藍1・2号が周辺海域の水質と海洋生態に及ぼす潜在的影響を科学的かつ体系的に立証し、中国に実地調査に応じるよう説得しなければならない。
同時に中国が南シナ海などで「内海化」に向けたグレーゾーン戦略を展開した前例を根拠に国際世論を喚起するのも有効な対応カードにできる。
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