先月25日、ソウル中区(チュング)のプラザホテルで安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官(右)とダンリービー米アラスカ州知事(左)が会談した [写真 産業通商資源部]
しかし韓米関税交渉でアラスカLNGプロジェクトが高次方程式を解く難題に浮上しているのは懸念される。米国の要求をそのまま受け入れるのも断るのも難しいからだ。アラスカ北部から南部まで1300キロのパイプラインを連結するこの事業は気候特性上、年中凍結している永久凍土層を掘る難しい工事だ。一年間のうち工事が可能な日も多くない。米国系エクソンモービルと英国系BPなど大型油田開発会社が挑戦して手を引いた理由だ。中国もトランプ政権1期目に開発に動いたが、収益性が低くてあきらめた事業だ。
トランプ米大統領はこの事業に大きな関心を見せている。総事業費だけで440億ドル(約6兆2700億円)と推定されるこの事業が始まれば、アラスカに建設投資ブームが起こり、完工後にはLNG輸出事業で大きな利益を得ることができる。米国は韓国・日本・台湾3カ国に投資を要請している。先月、アラスカ州知事が韓国を訪問して投資を呼びかけた。
韓国としては投資に参加すれば相互関税と品目別関税はもちろん、防衛費の議論でも有利な協議ができると予想される。しかし交渉のレバレッジとして使うにはリスクがあまりにも大きい。大手油田開発企業も手を引いた事業であるうえ、化石燃料開発に否定的な米民主党が3年後に執権すれば、事業が中断して投資金を失うおそれもある。
韓代行の慎重な接近が重要になっている。通商専門家であるだけに国益のための協議に入るだろうが、成果を誇示しようという意欲が先立って政府レベルで突然開発を約束する場合、それ以降が難しくなる。米国の無差別的要求の限度が分からない状況で次期政権の負担になるおそれがある。特に韓代行は大統領出馬説があるだけに政治的論争を避けなければいけない。
米国は最近、局面転換の兆候を見せている。無差別的関税が米国債市場を不安定にし、中国が報復関税とともにレアアース(希土類)輸出禁止に動き出し、関税戦争の安定化が至急になった。韓国など5カ国との早期交渉もこうした流れの中で出てきた。我々までが焦りを見せる必要はない。
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