4日米国ニューヨークのアップルストアの前を通行人たちが通り過ぎる様子。[写真 EPA=聯合ニュース]
決定的な違いは製造を「直接するか、任せるか」で分かれた。アップルは製品設計に集中して、組み立てはフォックスコンやペガトロンなど中国企業に任せる。これらはほとんどが中国に大規模生産施設を置いている。特に「iPhoneの都市」と呼ばれるフォックスコン鄭州工場には数十万人の人材が投入され精巧な生産ラインとインフラを構築している。
かつてこの構造はアップルの強みだった。20年以上鍛えられた中国生産生態系は超精密組み立て、スピーディな大量生産、低い人件費を全部満たしコスト削減と納期短縮に最適化されたシステムと評価された。
だが米中対立と地政学的リスクが深まり、この「効率の象徴」はアップルの足かせになった。世界の供給網多角化が企業の生き残りの核心課題に浮上した現在、アップルの中国中心生産体制はむしろ企業リスクを拡大する要因になっている。委託中心の製造構造の特性上、一度根を下ろした生産拠点を移したり修正したりするのも難しい。アップルの悩みが深まる理由だ。
これに対しサムスン電子は主要スマートフォンを直接製造する。かつて年間6300万台を生産した中国・恵州工場を撤収しベトナムに生産基地を迅速に移転できたのも独自の工場を保有していたためだ。現在ベトナムのバクニン省とタイグエン省の工場で生産されるスマートフォンはサムスンの生産量の約50%以上という。
製造拠点を移す時には協力企業との連結性も重要な変数だ。あるIT製造業界関係者は「サムスンは直接工場を運営するため韓国に協力企業が多くつながりも緊密だ。海外に生産拠点を移す時も主要な協力会社とともに進出する方式」と話した。彼は「アップルはフォックスコンという中国企業を挟まなければならないため協力企業とのつながりが弱く、戦略的判断を速やかに下しにくい」と話した。
アップルは中国の顔色もうかがわなくてはならない。サムスンのスマートフォンは中国市場で有意味なシェアを持っておらず果敢な撤収が可能だった。アップルは事情が異なる。中国はアップルの全売り上げの約20%を占める核心市場だ。生産基地を外部に移転する場合、ブランドイメージに直撃弾になる恐れがある。
トランプ大統領が関税免除のカードを与えたのは「時間を与えるから米国でのiPhone生産に向け努力せよ」という無言の圧力と解釈できる。ホワイトハウスも「トランプ大統領はアップルが生産を米国に移すことができると信じる」と公開発言した。だが米国内でも実現の可能性は小さいと予想する。
アップルのティム・クック 最高経営責任者(CEO)は2017年に「アップルが中国に供給網を構築したのは安い人件費のためでなく技術力と生産能力のため」と明らかにしている。アップル出身の製造エンジニアであるマシュー・ムーア氏はブルームバーグを通じ「米国のどの都市が全てをやめてiPhoneだけ組み立てるだろうか。例えばボストンの人口は50万人を超えるが都市全体が全てを投げ打たなければiPhoneの組み立てはできないだろう」と指摘した。
この記事を読んで…