「我々はもう世界のカモ(suckers)ではない」。8年前、イラクのアルアサド空軍基地でしたトランプ米大統領のこの発言は、2025年の2期目開始と同時にさらに露骨かつ強力になった。「世界警察」の地位を手放す米国、大規模な「再武装計画」を発表した欧州連合など世界各地では安保関連の変化が起きている。これを受け、人工知能(AI)などIT技術を軍事力強化に活用する「ディフェンステック」分野が最盛期を迎える状況だ。軍需AIソフトウェアを販売する米パランティアの時価総額は世界最大防衛産業企業のロッキードマーティンを上回って久しい。シールドAI、アンドゥリルインダストリーズなど「ITブースター」をつけた防衛産業企業も急速に成長している。「K(韓国)-防衛産業」はどうなのか。地雷対応の四足歩行ロボットからドローンを捕らえるドローンまで、ディフェンステック全盛時代を築いていく国内防衛産業スタートアップを分析した。
◆IT握ってこそ防衛産業確保
「最初の知能化戦争」「最初のドローン戦争」などウクライナ戦争をめぐるさまざまな修飾語に表れているように、今日の軍事力はIT競争力に左右される。AI基盤ソフトウェアで衛星およびドローンのイメージなどを活用して地上の状況を多角的に分析し、ドローンを通じて標的を攻撃をする形だ。米国は昨年の国防イノベーションユニット(DIU)予算を9億8300万ドル(約1430億円)と、前年比で7倍以上も増額した。DIUは民間の最先端技術を国防分野に迅速に適用するために2015年から米国防総省傘下で運営する組織だ。京畿大のチャン・ギヨン政治外交学科教授は『人工知能と未来安保に対する国際政治理論的展望』(2024)で「強大国はAI分野で優位を占めることを、軍事・経済的な影響力だけでなく地球的な覇権を握るものと認識している」とした。
◆韓国防衛産業、テックで「戦線を行く」
韓国国内のスタートアップも次々と防衛産業に参入している。ドローン製造会社ニアースラボはAI自動飛行技術を保有し、2023年に防衛産業分野に事業を拡張した。同社が開発した「カイデン(KAiDEN)」はドローンを捕らえるドローン、すなわちハードキル(hard-kill、敵のドローンに衝突して無力化させる方式)用アンチドローンだ。時速250キロ以上の高速で飛行してドローンを撃墜する。ニアースラボは産業施設の点検に活用してきた映像AI分析・制御技術をカイデンに搭載し、他のドローンと差別化した。同社のチェ・ジェヒョク代表は「人間がロープを利用して入らなければいけない風力発電機の点検を我々のドローンは15分で終わらせることができる」とし「自ら任務を遂行し、数機のドローンを効率的に管制するAI自動飛行技術を防衛産業分野に取り入れれば勝算があるはず」と話した。続いて「無人化が核心となる未来戦に備えて使い捨ての消耗性ドローンというコンセプトで(カイデンを)開発した。AIソフトウェアで性能を高め、ハードウェアの単価を低めて、米国防衛産業ドローン価格の20分の1水準で市場に出した」と説明した。ニアースラボはカイデンの韓国軍納品はもちろん、海外企業と輸出契約もした。
空中にドローンがあるなら、地上にはロボットがある。ライオルロボティクスは四足歩行ロボットの可能性に注目して防衛産業分野に進出した3年目のスタートアップだ。ファンボ・ジェミン代表(KAIST教授)は「不安定な地帯で一度倒れる場合、四足の方が二足に比べて衝撃が少ない」とし「まだドローンほど実戦に活発に投入されていないが、韓国陸軍やシンガポール国防研究所などが我々が開発した四足歩行ロボット『ライボ]を購入し、地雷原・戦場など危険なところに投入可能かどうかパイロットスタディ(実験研究)をしている」と伝えた。同社の売上高の80%以上は防衛産業分野で生じている。
ハードウェアだけでなくデータやセキュリティーなどソフトウェア開発に注力するスタートアップもある。韓国航空宇宙産業(KAI)が2番目の株主であるジェンジェンエイアイは生成AIで防衛産業で活用可能な高品質合成データを作る。自動走行スタートアップを運営していたが、2022年に同社を設立したチョ・ホジン代表は「生成AIが学習するにはイメージデータ数百万枚が必要だが、今まさにAI基盤体系を構築していく防衛産業側にデータの需要が増えると判断した」と話した。続いて「イメージ生成AIステイブル・ディフュージョンを基盤にCCTV・衛星・熱画像センサーなどそれぞれの装置を模写するAIに最適化し、軍事および防衛産業用データを作る」と説明した。これまでになかったイメージを生成すること以外に天気・時間帯・季節など多様な状況を仮定した軍事データも生成AIを通じて作成する。例えば、北朝鮮関連データの場合、確保できる量に限界がありAI学習に困難があるが、ジェンジェンエイアイはこれに関連して標的が爆発したり撃墜されたりするなど多様な状況に関するデータをAIで生成することができる。
世界暗号学界の碩学、ソウル大の千丁熙(チョン・ジョンヒ)数理科学部教授が2017年に創業したクリプトラボは量子コンピューターという矛に対抗する盾、「量子耐性暗号」と暗号化された状態でもデータを分析できる「同型暗号」技術を開発した。クリプトラボはこの技術で国防分野にも進出し、現在、国防部実験事業を進めている。クリプトラボのキム・テギョン 同型暗号チーム長は「国防分野ではAIチャットボットを導入しようとしても軍事機密が流出するおそれがあり、閉鎖的形態で開発しなければいけない」とし「国防データを暗号化してAIを学習させるカスタマイジングAIチャットボットを開発中」と述べた。
「世界警察」を放棄する米国…ディフェンステックに進出する韓国有望企業(2)
◆IT握ってこそ防衛産業確保
「最初の知能化戦争」「最初のドローン戦争」などウクライナ戦争をめぐるさまざまな修飾語に表れているように、今日の軍事力はIT競争力に左右される。AI基盤ソフトウェアで衛星およびドローンのイメージなどを活用して地上の状況を多角的に分析し、ドローンを通じて標的を攻撃をする形だ。米国は昨年の国防イノベーションユニット(DIU)予算を9億8300万ドル(約1430億円)と、前年比で7倍以上も増額した。DIUは民間の最先端技術を国防分野に迅速に適用するために2015年から米国防総省傘下で運営する組織だ。京畿大のチャン・ギヨン政治外交学科教授は『人工知能と未来安保に対する国際政治理論的展望』(2024)で「強大国はAI分野で優位を占めることを、軍事・経済的な影響力だけでなく地球的な覇権を握るものと認識している」とした。
◆韓国防衛産業、テックで「戦線を行く」
韓国国内のスタートアップも次々と防衛産業に参入している。ドローン製造会社ニアースラボはAI自動飛行技術を保有し、2023年に防衛産業分野に事業を拡張した。同社が開発した「カイデン(KAiDEN)」はドローンを捕らえるドローン、すなわちハードキル(hard-kill、敵のドローンに衝突して無力化させる方式)用アンチドローンだ。時速250キロ以上の高速で飛行してドローンを撃墜する。ニアースラボは産業施設の点検に活用してきた映像AI分析・制御技術をカイデンに搭載し、他のドローンと差別化した。同社のチェ・ジェヒョク代表は「人間がロープを利用して入らなければいけない風力発電機の点検を我々のドローンは15分で終わらせることができる」とし「自ら任務を遂行し、数機のドローンを効率的に管制するAI自動飛行技術を防衛産業分野に取り入れれば勝算があるはず」と話した。続いて「無人化が核心となる未来戦に備えて使い捨ての消耗性ドローンというコンセプトで(カイデンを)開発した。AIソフトウェアで性能を高め、ハードウェアの単価を低めて、米国防衛産業ドローン価格の20分の1水準で市場に出した」と説明した。ニアースラボはカイデンの韓国軍納品はもちろん、海外企業と輸出契約もした。
空中にドローンがあるなら、地上にはロボットがある。ライオルロボティクスは四足歩行ロボットの可能性に注目して防衛産業分野に進出した3年目のスタートアップだ。ファンボ・ジェミン代表(KAIST教授)は「不安定な地帯で一度倒れる場合、四足の方が二足に比べて衝撃が少ない」とし「まだドローンほど実戦に活発に投入されていないが、韓国陸軍やシンガポール国防研究所などが我々が開発した四足歩行ロボット『ライボ]を購入し、地雷原・戦場など危険なところに投入可能かどうかパイロットスタディ(実験研究)をしている」と伝えた。同社の売上高の80%以上は防衛産業分野で生じている。
ハードウェアだけでなくデータやセキュリティーなどソフトウェア開発に注力するスタートアップもある。韓国航空宇宙産業(KAI)が2番目の株主であるジェンジェンエイアイは生成AIで防衛産業で活用可能な高品質合成データを作る。自動走行スタートアップを運営していたが、2022年に同社を設立したチョ・ホジン代表は「生成AIが学習するにはイメージデータ数百万枚が必要だが、今まさにAI基盤体系を構築していく防衛産業側にデータの需要が増えると判断した」と話した。続いて「イメージ生成AIステイブル・ディフュージョンを基盤にCCTV・衛星・熱画像センサーなどそれぞれの装置を模写するAIに最適化し、軍事および防衛産業用データを作る」と説明した。これまでになかったイメージを生成すること以外に天気・時間帯・季節など多様な状況を仮定した軍事データも生成AIを通じて作成する。例えば、北朝鮮関連データの場合、確保できる量に限界がありAI学習に困難があるが、ジェンジェンエイアイはこれに関連して標的が爆発したり撃墜されたりするなど多様な状況に関するデータをAIで生成することができる。
世界暗号学界の碩学、ソウル大の千丁熙(チョン・ジョンヒ)数理科学部教授が2017年に創業したクリプトラボは量子コンピューターという矛に対抗する盾、「量子耐性暗号」と暗号化された状態でもデータを分析できる「同型暗号」技術を開発した。クリプトラボはこの技術で国防分野にも進出し、現在、国防部実験事業を進めている。クリプトラボのキム・テギョン 同型暗号チーム長は「国防分野ではAIチャットボットを導入しようとしても軍事機密が流出するおそれがあり、閉鎖的形態で開発しなければいけない」とし「国防データを暗号化してAIを学習させるカスタマイジングAIチャットボットを開発中」と述べた。
「世界警察」を放棄する米国…ディフェンステックに進出する韓国有望企業(2)
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