韓悳洙大統領代行が8日夜、政府ソウル庁舎でトランプ米大統領就任後初めて電話会談をした。[写真 韓国国務総理室]
韓代行はトランプ大統領の圧倒的な大統領選挙勝利とリーダーシップ発揮を評価した上で、「韓国の外交・安全保障の根幹である韓米同盟関係がさらに拡大・強化されていくことを希望する」と話したと総理室は伝えた。
また、韓代行は造船、液化天然ガス(LNG)と貿易均衡の3大分野で米国側と一次元高い協力の意志を強調した後、「相互にウィンウィンとなる方策を見いだせるよう貿易均衡を含めた経済協力分野で、閣僚級で建設的な協議を継続していこう」と話した。
トランプ大統領はこの日ソーシャルメディアへの投稿を通じ、「少し前に韓国の大統領代行と立派な通話をした。われわれは彼ら(韓国)の途轍もなく持続不可能な黒字、関税、造船、米国産LNGの大規模購入、アラスカパイプライン合弁投資、そして米国が韓国に提供する莫大な軍事保護費用について話した」と明らかにした。続けて「両国ともに立派な交渉を成し遂げられる条件と可能性が用意されている。彼らの最高チームが米国に向かう飛行機に乗っており、状況は良さそうだ」とした。
この日の電話会談は9日に予定されたトランプ政権の相互関税発効を控え電撃的に行われた。「彼らの最高チーム」とは相互関税問題を協議するために8~9日に米国を訪問する鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長らを示すとみられる。
◇ホワイトハウス「トランプ大統領、関税交渉で韓日など同盟優先せよと指示」
トランプ政権は2日、韓国で生産され米国に輸入される製品に対し25%の相互関税を施行すると発表した。
トランプ大統領はまた「われわれは米国と取引を望む他の多くの国と交渉している。韓国と同じようにわれわれは貿易と関税で扱わない他の主題を提起して交渉を進めている」とした。その上で「中国も(米国と)交渉したがっているがどのように始めるかわからない。われわれは彼らの電話を待っている」と付け加えた。
トランプ大統領はまた「莫大な軍事保護に対する支払い」という表現を使いながら在韓米軍の防衛費分担金引き上げも圧迫した。トランプ大統領は昨年の大統領選挙当時に韓国を「キャッシュディスペンサー」と表現し、韓国政府が100億ドルの在韓米軍防衛費分担金を出さなければならないという主張を展開した。
両首脳は北朝鮮問題に関する対話もやりとりした。韓代行は「北朝鮮の核・ミサイル能力高度化など深刻化される安全保障脅威の中で北朝鮮の非核化に対する韓米両国と国際社会の意志が北朝鮮の核保有意志よりはるかに強力だということを明確に認識できるよう協調していくことを希望する」と話した。韓国政府消息筋は「韓代行が北朝鮮問題の説明に相当な時間を割き、トランプ大統領も韓代行の問題意識に概ね呼応した」と伝えた。ただ、トランプ大統領はソーシャルメディアで北朝鮮に関する言及はしなかった。
韓国政府消息筋は両首脳の電話会談と関連し、「概ね対話の雰囲気は良かった。トランプ大統領は英語がうまい韓代行に好感を示した」と伝えた。この日の電話会談には専門通訳が同席したが2人は直接英語で対話する時間が多かったという。
首脳間の電話会談を契機に韓米両国の関税交渉にも速度が出る見通しだ。ホワイトハウスのハセット国家経済会議委員長は8日、フォックスニュースとのインタビューで、トランプ大統領が関税問題と関連して中国側とも会談すると予想するかとの質問に「中国との対話の有無と時期は大統領が決めるだろうが、当面われわれは日本や韓国などわれわれの同盟と貿易パートナーを優先しろとの指示を受けた」と話した。ベッセント財務長官は前日、現在まで約70カ国が相互関税の影響最小化に向けトランプ政権にアプローチしてきていると明らかにした。これらの国のうち韓日など米国の伝統的同盟と友好国との交渉を最優先視するという意味と解説される。
トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で「韓国と同じようにわれわれは貿易と関税で扱わない他の主題を提起して交渉を進めている。ワンストップショッピングは美しく効率的なプロセス」と明らかにした。これをめぐりトランプ政権が関税と貿易収支不均衡などの経済問題と防衛費など安全保障懸案を包括する交渉を韓国と進めようとする意味との分析が出ている。
韓代行はこの日公開されたCNNとのインタビューで、「関税問題で中国の道は行かない。米国と交渉したい」と話した。その上で「(報復関税のような)反撃が状況をドラマチックに良くさせるとは考えない。私はそれが3カ国(韓中日)特に韓国には役に立つと考えない」と話した。
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