米国のドナルド・トランプ大統領の全世界の国々を対象とした10%の普遍関税賦課(各国別相互関税賦課は9日)を翌日に控えた4日(現地時間)、米国ワシントンDC近郊のバージニア州フェアファックス郡にあるコストコやウォルマートなど大型スーパーにはトイレットペーパーなど生活必需品の価格が上昇する前に前もって購入しておこうとする人々が争うようにして品物を購入し始めている。ワシントン=カン・テファ特派員
30個入りトイレットペーパー3セットとキッチンタオル4本を確保するのに成功したマーシャ・ペレスさんは「正直言うと、今すぐ必要で買ったわけではない」とし「関税によって物の値段が上がるが、パンデミックの時にトイレットペーパー1ロールあたり10ドル以上に跳ね上がったことを思い出して早退してとりあえずトイレットペーパーからから買った」と話した。卵の陳列台には「一人3パックまで」という案内が出されていた。すると人々は同伴者別に卵を3パックずつ分けて持たせ、確保競争を繰り広げた。これを見守っていたモニカ・コさんは「むしろ今日は状況が少しましなほう」としながら「昨日は長い列に並んで互いに卵を手に入れようと小競り合いまで起きていた」と話した。コさんは「車もそろそろ買い替え時を迎えたが、割引キャンペーンも終わってチャンスを逃してしまった」とし「正直、何をどのようにすべきかよく分からない」と言った。そんなコさんのカートにも漏れなくトイレットペーパーが入っていた。
世界を相手にしたトランプ大統領の「関税戦争」で3日から米国人の必需品である自動車に25%の関税がつき始めた。5日からはすべての輸入品に10%の関税が、9日からは韓国をはじめ「最悪の違反者(worst offenders)」に適用される超高率の関税が賦課される。特に「世界の工場」中国には従来の関税20%に相互関税34%を加えた54%、もう一つの「工場」ベトナムには46%の関税が予告されて米国消費者はパニックに陥った。
衝撃波は最初に米国の低所得層を襲った。空のカートを押して長い間テレビの価格表を見つめていたホーリー・ニューマンさんは「テレビが古くなって変えないといけないが金がない」とし「人々がテレビの価格が上昇するといったので来てみたが、高い利子を払うことも、お金を借りることもできないのでどうしようもない」と肩を落とした。記者から相当数の家電原産地である中国とベトナムに高関税がつくという話を聞いたニューマンさんは「トランプが国を殺し、私のような人を殺す」としながら声を高めて、そのまま手ぶらで店を出た。
関税が低所得層により大きな苦痛になる理由は逆累進性のためだ。関税はすべての商品に同じように反映される。所得が低いほど体感する価格上昇効果が大きいということだ。金持ちにとって10ドルは少額であるかもしれないが、低所得層にとっては必ずしもそうでないためだ。
実際、関税のために低所得層の可処分所得が高所得層よりも大きく落ちるという具体的な分析も出てきた。2日に公開されたイェール大学予算研究所(Yale Budget Lab)の資料によると、トランプ大統領の関税政策の効果を反映した米国所得の第2・十分位(下位所得10~20%)の今年の可処分所得は1723ドル減少すると予想された。所得が最も高い第10・十分位の8101ドルに比較すれば少ない。
しかし、現在の所得に比例した可処分所得の減少割合で比較する場合、第2・十分位の減少幅は4%で、第10・十分位の減少幅1.6%と比較すると2.5倍になることが分かった。資料が不足していてデータを出すことができなかった最下位の第1・十分位区間と比較する場合、比率はさらに大きくなる可能性がある。
関税による両極化に対する不満はトランプ政府に対する反発につながっている。ウォルマートで会ったサム・ウィルソンさんは「トランプ政府に腹が立つのは、すべての負担と責任を米国人に転嫁すること」としながら「特にすべての政策が最も裕福な人々の税金を減らし、彼らがさらに良い暮らしができるようにする方向に流れているようで、もっと腹が立つ」と話した。
特に億万長者のイーロン・マスク氏が公共部門の大規模な人員縮小を主導して「金持ち政府」のイメージを強化して反発を大きくしているという声が少なくなかった。イサ・リウさんは「ワシントン近郊には政府機関に従事したり政府関連の仕事をしたりする人々が多い」とし「私の夫もマスク氏のせいで一方的に解雇され、政府側に就職しようとしていた息子も就職できず、私のパートタイムの給料でなんとか食いつないでいる」とした。
「トイレットペーパー・卵でも戦った」…米国庶民から襲ったトランプ関税(2)
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