バイデン大統領
バイデン大統領は対中関税引き上げを発表しながら「前大統領は米国の輸出増大と製造業活性化を約束したが失敗した」とトランプ前大統領を攻撃した。続けて「わが政権は米国に対する投資と戦略的で標的化された関税を結合している。賢明なアプローチ」と強調した。バイデン大統領はまた、再選すればすべての輸入品に10%の普遍関税を課すというトランプ前大統領を狙い「そうなると米国の家族の費用が毎年平均1500ドルずつ増加することになるだろう」と批判した。トランプ式貿易戦争とは差別化されたやり方で「中国叩き」に出るという意味だ。これを置いて「アメリカ・ファースト」を掲げて保護貿易主義を露骨化しているトランプ前大統領との競争を意識したという見方が出ている。
これに対しトランプ前大統領はバイデン大統領の対中関税引き上げ措置に対し「足りない」という考えを明らかにした。トランプ前大統領は再執権する場合、60%の関税を課して中国製品の米国市場へのアクセスを防ぎ、自国の産業を保護して雇用を創出すると公言してきた。
セックススキャンダル口止め事件の刑事裁判に出席するためニューヨークのマンハッタン刑事裁判所に出頭したトランプ前大統領はこの日、「他の自動車にも同じ措置を取らなければならず、他の多くの品目にも同じようにしなければならない」として関税引き上げの拡大適用を主張した。これまでトランプ前大統領は「中国は自動車を作るためにメキシコに工場を作った。大統領になれば(中国企業がメキシコで生産した車に)100%の関税を課す」と公言してきた。中国が米国市場に電気自動車を売る迂回ルートとしてメキシコを利用してきたのにバイデン政権がこれを防げずにいるという主張だ。したがってタイ代表の「メキシコ製の中国の電気自動車」への措置予告はトランプ陣営の攻勢まで念頭に置いたという見方が出ている。
11月の大統領選挙を控えたバイデン大統領とトランプ前大統領の競争的な「中国叩き」はメキシコなどを通した迂回輸出遮断問題にもつながる見通しだ。米国内では中国の迂回輸出を防げなければ中国製低価格過剰生産品が依然として米国市場に活路を見出すことになるという主張も続いている。中国はこれまで米国との貿易対立を避けるためメキシコを対米輸出の橋頭堡とした。これによりメキシコは米国にとって最大の輸入国に浮上し、1-3月期にも米国の対メキシコ輸入額は1150億ドルで、対中輸入額の1000億ドルを上回った。
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