アップルの資料写真[Pixabay]
24日まで開かれた中国発展ハイレベルフォーラム(CDF)参加のため北京を訪れたクック氏は前日に中国のAIモデル「ディープシーク」に向け異例の好評を出した。「ディープシークを使ってみたか」という記者の質問に、「もちろんだ。すばらしかった」と答えた。米商務省と国防総省がディープシークへのアクセスを遮断するなどセキュリティへの懸念を理由に牽制に出ているのとは対照的だ。クック氏は北京到着当日の22日には中国の大手芸能事務所壹心娯楽の楊天真代表と紫禁城を見下ろせる景山公園をともに散策し、伝統家屋で歌手ヘンリーの公演を楽しんだりもした。通常は現地のアップルストアだけ訪れていた過去と比べると積極的な歩みだ。
クック氏のこうした変化は現在のアップルが直面した複合危機状況を打開しようとする努力と分析される。尻に火が付いたのはAIスマホ市場でアップルが力を失っている点だ。アップルは新機能をアップデートするたびに問題が起きている。
◇iPhone販売鈍化、AI開発遅延、関税爆弾…「危機のアップル」親中国の歩み
1月に独自のAIシステム「アップルインテリジェンス」が提供するニュース要約機能に問題が発生して一時中断し、13日にはAI音声アシスタント「Siri」のアップデートバージョン適用を来年に延期した。この技術は昨年6月のアップル世界開発者大会(WWDC)で公開され、予定通りならば今年iOS18のアップデートバージョンに適用されるはずだった。突然の延期通知に米国ではアップルを相手に集団訴訟が提起され、韓国でも市民団体のソウルYMCAが、アップルが虚偽・誇大広告でiPhone16シリーズを販売してきたとして公正取引委員会に調査を要請した。
iPhoneのシェア下落も懸念材料だ。中国での立ち位置は明らかに縮小した。アップルにとって中国は米国に次いで2番目に大きい市場だ。だがカウンターポイントリサーチによると、昨年10-12月期基準でアップルの中国内スマートフォンシェアは17%で、1年前の21%より4ポイント下落した。景気低迷で中国人消費者の需要が以前ほどではない上に、米中対立激化、中国製高級スマホの躍進などが複合的に影響を及ぼした。毎年9月に新製品を公開するアップルの特性上、10-12月期にはシェアが大きく上がるが、昨年10-12月期には期待ほど反騰できず、シェア18%の中国vivoにトップを明け渡した。
第2次トランプ政権が発足し関税リスクも再び浮上した。すでにトランプ大統領は就任後中国製品に20%の追加関税を課しており、来月2日には全世界を対象に相互関税を発表すると脅しをかけている。
シティグループは「全アップル製品の90%が中国で製造される点を考慮すると、関税はアップルの売り上げの総利益を約1.7%低くするだろう」と分析した。世宗(セジョン)大学経営学科のファン・ヨンシク教授は「中国市場は常に孝行息子の役割をしてきたが中国製スマホが追撃に出てアップルが危機を感じている。ディープシークショックは世界のビッグテックのCEOが中国の市場性を再び知ることになる契機になっただろう」と話した。
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