サッカー中国代表に合流した帰化選手セルジーニョ(真ん中) [写真 中国サッカー協会SNS]
セルジーニョはブラジル・イタリアの二重国籍の攻撃型ミッドフィルダーだ。2018年に鹿島アントラーズ(日本)、2020年に長春亜泰(中国)を経て現在は北京国安(中国)でプレーしている。中国に5年居住したセルジーニョは12日に中国国籍を取得し、16日の中国-クウェートの評価試合に出場した。帰化選手のイングランド出身DFティアス・ブラウニング(31)も代表チームに名前を連ねた。
中国ファンたちはセルジーニョの合流に「W杯に行ける希望が生まれた」と歓迎した。25日に杭州で開催されるオーストラリア代表との第8戦の入場券6万7000枚は販売開始15分で完売となった。中国はその一方で同組のインドネシアがサッカー代表チームに帰化選手を大量に含めると「やり過ぎだ」と批判した。インドネシア代表のパトリック・クライファート監督はオランダ系など帰化選手16人を代表チームに含めた。パウロ・ベント監督が率いるアラブ首長国連邦も代表チームにブラジル出身の帰化選手を入れた。
「リオネル・メッシ(アルゼンチン)が帰化しても中国は弱い」と一部では自嘲混じりの反応もみられる。中国は雲南玉昆(中国)所属のコンゴ民主共和国出身FWオスカル・マリトゥ(26)の帰化も同時に推進したが、実現しなかった。中国捜狐ドットコムは「帰化手続きで犯罪歴が見つかって実現しなかったという噂がある」と伝えた。
中国は2019年から大金を投入してブラジル出身のエウケソンら5人を帰化させたが、成果は大きくなかった。フェルナンジーニョはブラジルに戻った後、代表チームの招集にも応じなかった。今回の代表チームに「帰化1世代」のエウケソンとフェルナンジーニョは抜けた。
国際サッカー連盟(FIFA)ランキング90位の中国はC組6カ国のうち最下位(2勝4敗)だ。3位のインドネシア、4位のサウジアラビア、5位のバーレーンと勝ち点(6)は同じだが、得失点が-10。昨年9月に日本に0-7で惨敗した影響が大きい。それでも2位のオーストラリアとも勝ち点差はわずか1だ。アジア3次予選では各組1・2位が本大会に直行し、3・4位はプレーオフに進む。
2024パリオリンピック(五輪)で金メダル40個を獲得した中国だが、サッカーでは成績を出せていない。2011年に習近平国家主席が「サッカー崛起」を叫ぶと、中国大企業が母体のプロサッカーチームは巨額の年俸を出して外国のスター選手を迎え入れた。しかし経済沈滞で大企業が崩れ、サッカー界の賄賂など不正が浮上した。体系的な選手育成のために設立されたサッカー学校は高い学費のため富裕層の子どもの「貴族学校」に変質した。ビッグリーグに行く実力はないのに自国リーグで高額年俸を受ける選手たちも非難は向かっている。
崛起どころか良くなる兆しも見えず、習近平主席までがあきらめている雰囲気だ。2023年に中国がサッカー代表試合でタイに勝利したことを祝うタイの首相に対し、習主席は「運が良かっただけだ。彼ら(中国代表チーム)のレベルは確信できない。起伏がある」と答えた。
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