アラスカの資料写真[Pixabay]
ダンリービー知事は19日、LNG事業に関する中央日報の質疑に「運河のボトルネック問題や紛争海域を迂回する低コストの供給源になるだろう」としながらこのように明らかにした。パナマ運河を経ずに太平洋に運送し通行料を節約できるという強みを掲げた。共和党所属のダンリービー知事は2018年の初めての州知事選挙挑戦で当時のトランプ米大統領の支持を受け当選した人物だ。エネルギー省長官、内務省長官候補に名前が上がったりもした。
ダンリービー知事は来週に韓国を訪問する予定だ。ダンリービー知事とアラスカガスライン開発公社(AGDC)代表団は、大統領代行を務める崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官、産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官、外交部の趙兌烈(チョ・テヨル)長官らとの面談日程を調整している。ダンリービー知事は「アラスカLNGは韓国に途轍もない経済的・安保的・戦略的利点を提供できる。今回の事業はアラスカの安くてきれいな天然ガス供給源を開放するもの」と話した。AGDCは韓国にLNG供給を始める目標時期は「2030年または2031年」と明らかにした。
産業通商資源部はアラスカLNG事業の機会とリスクを慎重に計算した上で参加するかどうかを決める考えだ。390億ドル(約5兆7937億円)から最大440億ドル規模と他の地域より2~3倍高い水準の事業費が負担だ。北極の酷寒気候の中で1300キロメートルに達するパイプラインを建設しなければならない。アジア地域のLNG需要減少、世界のLNG供給量増加で価格が下落するならば事業収益性がさらに落ちるだろうという評価もある。
こうした中、過去の中国の歩みを振り返る必要がある。中国はすでに8年前にアラスカLNG事業参加に乗り出したが手を引いた経緯がある。
2017年11月9日に中国石化と中国投資公社、中国銀行は米アラスカ州とLNG共同開発協定を締結した。中国側が投資することにした金額は430億ドルに達した。当時第1次トランプ政権が中国に対し対米貿易黒字を減らすよう圧迫して出てきた対応策のひとつだった。協定締結前の同年4月7日には習近平主席がトランプ大統領と首脳会談を終え帰国する際に予告なくアラスカを訪問したりもした。
しかし、通商当局によると中国はすでに2019年にアラスカ事業から事実上手を引いている。当時表向きは米国が自国内の反中感情を考慮して中国資本を追い出したものとされたが、市場の評価は違った。仁荷(インハ)大学エネルギー資源工学科のカン・チョング招聘教授は「中国が撤退した最大の理由は投資に対し収益などの経済性が落ちると判断したため。韓国が十分な検討をせずに投資に出るなら国富流出議論や法的責任議論などが広がる恐れがある」と助言した。
経済協力開発機構(OECD)のオ・ソンイク地域開発政策委員会分科副議長は「投資参加が避けられないならばそれに見合った反対給付を受けることに交渉力を集中する必要がある」と助言した。韓国が要求できる事項としては、補助金、米エネルギーインフラ支援プログラム活用、LNG長期購入優遇などが挙げられる。オ副議長は「米国の関税賦課免除も要求しなければならない」と付け加えた。
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