第1次政権時も関税を愛したが、今のトランプ米大統領発の関税爆弾にはまた違った特徴がある。揶揄的に表現すれば、相手を選ばない公平性だ。
韓国では弾劾局面でリーダーシップの空白状態が続く中、日本の石破茂首相が2月にワシントンに駆けつけ、トランプ米大統領と首脳会談をすることに成功すると、韓国国内では不安感が増幅した。しかし、金のかぶとまでプレゼントした石破首相が会談3日後にトランプ大統領からお返しにもらったのは、韓国同様に鉄鋼などに対する関税25%一括賦課の決定だった。
日本はすぐに除外を働きかけるとし、単独突破を試みたが、長官級会談までした結果は失敗だった。トランプ大統領が「米国が貿易黒字を出している」とし、関税免除の可能性を直接示唆したオーストラリアも同様に例外にならなかった。結局、希望を捨てられずに待つだけ待った末、12日に韓国と同じように25%の関税爆弾を受けることになった彼らを見ると、韓国の首脳外交が稼動しても結果が違っただろうかとも思う。
しかし、同じように攻撃されても、韓国ではさらに敏感な反応が出るテーマがある。最近、米国でこのようなキーワードが公に取り上げられているのが不吉だ。
トランプ氏は4日、上下院合同演説で「韓国の平均関税率は(米国の)4倍」と述べた。もちろん間違っている。韓米間には自由貿易協定(FTA)規定が優先適用され、実効税率基準で昨年米国産輸入品に対する韓国の平均関税率は0.79%程度だ。
在韓米軍の数字も自身の頭の中で果てしなく増殖させるトランプ大統領だが、彼がなぜこのような考えを持つようになったのか気になった。ところが偶然にも11日、ジョセフ・ユン駐韓米大使代理が同じような発言をした。
米国が韓国で貿易赤字を出している分野として自動車、農業、デジタル市場、金融サービスの4つを挙げ、ユン大使代理は「自動車を除く3つは米国が競争力のある分野だが、貿易障壁が多いことに対する問題意識がある」とし、「コメを例に挙げれば関税が400%にもなる」と述べた〔第7回世宗(セジョン)オープンフォーラム〕。実際、米国産のコメは事実上、無関税品目から除外されている。トランプ氏の4倍発言とユン大使代理の400%発言で接点が見えた。
いくら産業構造が変わったとしても、コメが韓国人にとって持つ意味は格別だ。政府がすでに1994年に妥結したウルグアイ・ラウンド交渉で、農産物市場を開放することを約束したにもかかわらず、コメに対しては数回にわたって関税化を猶予し、持ちこたえた理由だ。コメ市場の開放が議論される度に農業従事者は動揺し、大規模な反対デモも起きたりした。
米は今も高率関税賦課を通じて保護する敏感品目だが、トランプはこのような聖域などは気にしない可能性が高い。実際、ホワイトハウスは最近日本にも「米国産米に賦課する関税が700%」として攻撃地点にした。
米国の肉類業界が最近、30カ月以上経った米国産牛肉の輸入を禁止した韓国の検疫規定は不公正とし、改善を求める意見書を貿易代表部(USTR)に提出したのも尋常ではない。このような米畜産業界の要求は初めてではないが、4月2日の非関税障壁まで考慮した相互関税を予告したトランプ大統領にとって、これは良い口実になりうる。14日、産業通商資源部の鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長と米国のジェイミソン・グリア貿易代表間の面談でも牛肉問題は直接議論されなかったが、米国側は韓国の農業衛生・検疫に是正する点が多いと指摘した。
30カ月以上米国産牛肉を輸入しなくなったのは、狂牛病問題のためだ。2008年、政府が米国産牛肉の全面輸入開放を推進すると、これに反対する大規模なろうそくデモが続いた。狂牛病の恐怖を煽ったメディアの歪曲された報道や政府の強硬鎮圧などはさておき、これは大韓民国全体を分裂と対立に追い込んだ事件と記録された。
トランプ政権がこのような事案を武器化して韓国を圧迫した場合、デジャヴが懸念される。どの国よりも米国との同盟関係を重視するが、事案によっては予想を超える怒りを表出する可能性があるのが大韓民国の国民だということを、今や米国もよく知っているだろう。
「牛肉問題は、私の32年間の外交官生活の中で最も奇異で不名誉な事件だった。一部の歪んだメディアは、私が韓国人を侮辱したと主張した。デモが極限に達し、時々暴力的に変わる時は家から一歩も出られず拘禁されたような感じだった」。
アレクサンダー・バーシュボウ元駐韓米大使(2005~2008年)の回顧だ(韓米経済研究所発刊『大使館の瞬間の記録』)。また、別の駐韓米大使が後でこのように回顧するような状況がないことを願う。
ユ・ジヘ/外交安保部長
韓国では弾劾局面でリーダーシップの空白状態が続く中、日本の石破茂首相が2月にワシントンに駆けつけ、トランプ米大統領と首脳会談をすることに成功すると、韓国国内では不安感が増幅した。しかし、金のかぶとまでプレゼントした石破首相が会談3日後にトランプ大統領からお返しにもらったのは、韓国同様に鉄鋼などに対する関税25%一括賦課の決定だった。
日本はすぐに除外を働きかけるとし、単独突破を試みたが、長官級会談までした結果は失敗だった。トランプ大統領が「米国が貿易黒字を出している」とし、関税免除の可能性を直接示唆したオーストラリアも同様に例外にならなかった。結局、希望を捨てられずに待つだけ待った末、12日に韓国と同じように25%の関税爆弾を受けることになった彼らを見ると、韓国の首脳外交が稼動しても結果が違っただろうかとも思う。
しかし、同じように攻撃されても、韓国ではさらに敏感な反応が出るテーマがある。最近、米国でこのようなキーワードが公に取り上げられているのが不吉だ。
トランプ氏は4日、上下院合同演説で「韓国の平均関税率は(米国の)4倍」と述べた。もちろん間違っている。韓米間には自由貿易協定(FTA)規定が優先適用され、実効税率基準で昨年米国産輸入品に対する韓国の平均関税率は0.79%程度だ。
在韓米軍の数字も自身の頭の中で果てしなく増殖させるトランプ大統領だが、彼がなぜこのような考えを持つようになったのか気になった。ところが偶然にも11日、ジョセフ・ユン駐韓米大使代理が同じような発言をした。
米国が韓国で貿易赤字を出している分野として自動車、農業、デジタル市場、金融サービスの4つを挙げ、ユン大使代理は「自動車を除く3つは米国が競争力のある分野だが、貿易障壁が多いことに対する問題意識がある」とし、「コメを例に挙げれば関税が400%にもなる」と述べた〔第7回世宗(セジョン)オープンフォーラム〕。実際、米国産のコメは事実上、無関税品目から除外されている。トランプ氏の4倍発言とユン大使代理の400%発言で接点が見えた。
いくら産業構造が変わったとしても、コメが韓国人にとって持つ意味は格別だ。政府がすでに1994年に妥結したウルグアイ・ラウンド交渉で、農産物市場を開放することを約束したにもかかわらず、コメに対しては数回にわたって関税化を猶予し、持ちこたえた理由だ。コメ市場の開放が議論される度に農業従事者は動揺し、大規模な反対デモも起きたりした。
米は今も高率関税賦課を通じて保護する敏感品目だが、トランプはこのような聖域などは気にしない可能性が高い。実際、ホワイトハウスは最近日本にも「米国産米に賦課する関税が700%」として攻撃地点にした。
米国の肉類業界が最近、30カ月以上経った米国産牛肉の輸入を禁止した韓国の検疫規定は不公正とし、改善を求める意見書を貿易代表部(USTR)に提出したのも尋常ではない。このような米畜産業界の要求は初めてではないが、4月2日の非関税障壁まで考慮した相互関税を予告したトランプ大統領にとって、これは良い口実になりうる。14日、産業通商資源部の鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長と米国のジェイミソン・グリア貿易代表間の面談でも牛肉問題は直接議論されなかったが、米国側は韓国の農業衛生・検疫に是正する点が多いと指摘した。
30カ月以上米国産牛肉を輸入しなくなったのは、狂牛病問題のためだ。2008年、政府が米国産牛肉の全面輸入開放を推進すると、これに反対する大規模なろうそくデモが続いた。狂牛病の恐怖を煽ったメディアの歪曲された報道や政府の強硬鎮圧などはさておき、これは大韓民国全体を分裂と対立に追い込んだ事件と記録された。
トランプ政権がこのような事案を武器化して韓国を圧迫した場合、デジャヴが懸念される。どの国よりも米国との同盟関係を重視するが、事案によっては予想を超える怒りを表出する可能性があるのが大韓民国の国民だということを、今や米国もよく知っているだろう。
「牛肉問題は、私の32年間の外交官生活の中で最も奇異で不名誉な事件だった。一部の歪んだメディアは、私が韓国人を侮辱したと主張した。デモが極限に達し、時々暴力的に変わる時は家から一歩も出られず拘禁されたような感じだった」。
アレクサンダー・バーシュボウ元駐韓米大使(2005~2008年)の回顧だ(韓米経済研究所発刊『大使館の瞬間の記録』)。また、別の駐韓米大使が後でこのように回顧するような状況がないことを願う。
ユ・ジヘ/外交安保部長
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