◆韓国・台湾が待遇を受ける理由
トランプが世界の多くの国に関税爆弾を投下している。中国は言うまでもなく、隣国のカナダとメキシコ、強い同盟国の欧州にまで広げている。これら国から入ってくる物には無条件に強い関税をかける。
しかし例外がある。インド太平洋国家に対してはそうでない。インド・日本・韓国・ベトナム・台湾・オーストラリアなどがこれに該当する。地政学的に中国を包囲している国だ。中国と長い国境で接するロシアに関税をかけるという話はない。これらの国に対して品目別の関税はあるが、国別の関税は高めていない。トランプの目には世の中の国は2種類に分かれるようだ。中国牽制に「有用な国」とこれとは「関係がない国」だ。仮にカナダが中国の隣国だったなら現在のような屈辱はなかっただろう。
トランプはよく台湾と韓国が半導体を独占していると不平を言う。しかし国別関税爆弾を浴びせたりはしない。ただ、米国内で生産すべきだと圧力を加えるレベルだ。実際、米国に入って生産をしろと言うのは良い待遇だ。このような待遇を受ける国は台湾と韓国を除いてそれほどない。さらに韓国は米国に不足する造船業と原子力建設業、バッテリーが強い。韓国は地政学だけでなく技政学でも強みがあるという証拠だ。
世界チェスボードで見ると、韓半島(朝鮮半島)の地政学の位置は絶妙だ。神の一手をいえるほどだ。北京から1000キロの距離に米軍2万5000人が駐留し、中国をのぞけるTHAAD(高高度防衛ミサイル体系)基地がある。中国の立場には首に吊るしたトゲのようだろう。防衛費引き上げ要求がくれば、韓半島が北朝鮮抑止の役割だけをするところではないという点を強調する必要がある。米国はこのように良い戦略資産を放棄することはできない。
◆韓国の強みを活用した戦略が必要
韓国の戦略は明確になる。韓国政府は米国の中国牽制政策に積極的に協力する。現在、韓国人の感情は親米と反中の感情といえる。中国牽制政策をするのに適した世論だ。しかし国民感情は常に変わる。国民感情が変われば、国家政策も影響を受ける。米国が韓国に対して他国のように激しく接すれば、国民感情は変わるしかない。中国がこの状況を知らないはずはない。
筆者の目にはすでに中国が韓国に対する態度を変え始めたように見える。中国は昨年11月8日、韓国人に対するノービザ政策を施行した。昨年11月5日にトランプが大統領に当選した3日後だ。今月7日には中国全域でポン・ジュノ監督のハリウッド映画『ミッキー17』が公開された。限韓令から8年ぶりのことだ。筆者にはこれが偶然の一致には見えない。これを米国も無視することはできない。
いずれにしても韓国も特定の品目には関税爆弾を受けるだろう。しかしすべての製品にまるごと受ける国と比較すればはるかに軽い。韓国の輸出のうち米国の比率は18.3%(2023年基準)にすぎない。
米国以外の世界も広い。国別関税爆弾でさらに深刻な打撃を受けている国が多い。韓国は相対的に有利な立場だ。これらの国と貿易すれば比較優位を見いだせるはずだ。韓国の地政学・技政学の利点を活用して大胆に臨む必要がある。混沌のトランプ状況もカオス理論を適用してみると危機でなく機会が見えてくる。
李光炯(イ・グァンヒョン)/KAIST(韓国科学技術院)総長/国家知識財産委員会委員長
【コラム】米国も韓国が必要…「関税爆弾」にも機会はある(1)
トランプが世界の多くの国に関税爆弾を投下している。中国は言うまでもなく、隣国のカナダとメキシコ、強い同盟国の欧州にまで広げている。これら国から入ってくる物には無条件に強い関税をかける。
しかし例外がある。インド太平洋国家に対してはそうでない。インド・日本・韓国・ベトナム・台湾・オーストラリアなどがこれに該当する。地政学的に中国を包囲している国だ。中国と長い国境で接するロシアに関税をかけるという話はない。これらの国に対して品目別の関税はあるが、国別の関税は高めていない。トランプの目には世の中の国は2種類に分かれるようだ。中国牽制に「有用な国」とこれとは「関係がない国」だ。仮にカナダが中国の隣国だったなら現在のような屈辱はなかっただろう。
トランプはよく台湾と韓国が半導体を独占していると不平を言う。しかし国別関税爆弾を浴びせたりはしない。ただ、米国内で生産すべきだと圧力を加えるレベルだ。実際、米国に入って生産をしろと言うのは良い待遇だ。このような待遇を受ける国は台湾と韓国を除いてそれほどない。さらに韓国は米国に不足する造船業と原子力建設業、バッテリーが強い。韓国は地政学だけでなく技政学でも強みがあるという証拠だ。
世界チェスボードで見ると、韓半島(朝鮮半島)の地政学の位置は絶妙だ。神の一手をいえるほどだ。北京から1000キロの距離に米軍2万5000人が駐留し、中国をのぞけるTHAAD(高高度防衛ミサイル体系)基地がある。中国の立場には首に吊るしたトゲのようだろう。防衛費引き上げ要求がくれば、韓半島が北朝鮮抑止の役割だけをするところではないという点を強調する必要がある。米国はこのように良い戦略資産を放棄することはできない。
◆韓国の強みを活用した戦略が必要
韓国の戦略は明確になる。韓国政府は米国の中国牽制政策に積極的に協力する。現在、韓国人の感情は親米と反中の感情といえる。中国牽制政策をするのに適した世論だ。しかし国民感情は常に変わる。国民感情が変われば、国家政策も影響を受ける。米国が韓国に対して他国のように激しく接すれば、国民感情は変わるしかない。中国がこの状況を知らないはずはない。
筆者の目にはすでに中国が韓国に対する態度を変え始めたように見える。中国は昨年11月8日、韓国人に対するノービザ政策を施行した。昨年11月5日にトランプが大統領に当選した3日後だ。今月7日には中国全域でポン・ジュノ監督のハリウッド映画『ミッキー17』が公開された。限韓令から8年ぶりのことだ。筆者にはこれが偶然の一致には見えない。これを米国も無視することはできない。
いずれにしても韓国も特定の品目には関税爆弾を受けるだろう。しかしすべての製品にまるごと受ける国と比較すればはるかに軽い。韓国の輸出のうち米国の比率は18.3%(2023年基準)にすぎない。
米国以外の世界も広い。国別関税爆弾でさらに深刻な打撃を受けている国が多い。韓国は相対的に有利な立場だ。これらの国と貿易すれば比較優位を見いだせるはずだ。韓国の地政学・技政学の利点を活用して大胆に臨む必要がある。混沌のトランプ状況もカオス理論を適用してみると危機でなく機会が見えてくる。
李光炯(イ・グァンヒョン)/KAIST(韓国科学技術院)総長/国家知識財産委員会委員長
【コラム】米国も韓国が必要…「関税爆弾」にも機会はある(1)
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