空軍戦闘機が射撃訓練中に民家を誤爆するという未曾有の事故が発生した。昨日、京畿道抱川（キョンギド・ポチョン）のスンジン科学化訓練場一帯で陸軍と空軍、在韓米軍が参加する韓米連合・合同統合火力訓練の進行中、ＫＦ－１６戦闘機２機に搭載されたＭＫ－８２無誘導爆弾８発がとんでもないところに落ちた。１０日から始まる韓米年次連合訓練「フリーダムシールド（ＦＳ、自由の盾）演習を控えた事前訓練中に爆弾の一部が目標から直線距離で８キロほど離れた民間地域を爆撃したのだ。この事故で住民１５人が重軽傷を負い、聖堂をはじめ多数の民間建物と車両が破壊された。

ＭＫ－８２は建物と橋を破壊するために使用する爆弾だ。爆弾１個がサッカー場１個分ほどの面積を焦土化できる威力を持つ。多くの人命被害が発生する状況も考えられたが、死者が発生しなかったのは幸いだ。事故直後に軍当局が爆発物処理班（ＥＯＤ）を投入して不発弾があるかを調査したが、投下した爆弾はすべて爆発し、追加爆発の可能性はないと把握された。白永鉉（ペク・ヨンヒョン）抱川市長は被害の補償と共に「市民が納得できる対策を用意するまで軍事訓練を全面的に中断するべきだ」と要求した。

事故の原因について空軍は１番戦闘機の操縦士が座標を誤って入力し、２番機の操縦士までがこれに従って爆弾を落とした事故だと発表した。空軍は戦争初期に北朝鮮軍の主要施設を精密打撃する任務を遂行する。操縦士１人を養成するのに１００億ウォン（約１０億円）以上の費用を投入するのは、敵の防空網を避けて目標物に接近し「ワンショット・ワンキル」を期待するからだ。ところが座標を誤って入力して民家を爆撃したというからあきれるしかない。実戦であれば、目標物の目の前まで接近してとんでもないところを爆撃したということだ。「敵のいかなる挑発にも万全の対応態勢を備えた」と繰り返してきた軍がなぜこのようになったのか。こんなことで戦争がまともにできるのか疑問だ。


軍はこうした事故の再発を防ぐために徹底的に原因究明をしなければいけない。１次調査で操縦士の過失であることが明らかになったが「非正常的投下」と言ってごまかしたり隠そうとしたりすべきでない。操縦士が座標を誤って入力した理由は何か、座標を再度確認する手続きはなかったのか、さらに大統領弾劾政局で規律が緩んでないか、全般的に点検する必要がある。同時に軍当局は今回の事故が戦力の空白と訓練への支障につながらないように万全を期さなければいけない。空軍は原因を究明するまで射撃訓練を中断することにしたが、実働で進行するＦＳ訓練に支障をきたさないよう対策を講じるべきだろう。北朝鮮はすでに韓米連合訓練を口実に軍事行動を予告した。事故の再発は徹底的に防ぐものの、韓米連合戦力を積極的に稼働し、北朝鮮に弱点を露出するようなことはあってはならない。