欧州旗
欧州連合（ＥＵ）執行委員会は５日（現地時間）、「欧州自動車産業行動計画」を発表し、２０３０年までにバッテリーバリューチェーン全般で欧州製品の付加価値の比率を５０％水準に高めると発表した。このため、２０２７年までに１８億ユーロ（約２８７１億円）を投入し、域内のバッテリー生産施設を拡大する計画だ。この日、ウルズラ・フォン・デア・ライエンＥＵ執行委員長は「カーボンニュートラルの目標を維持しつつも実用的で柔軟なアプローチを取る」とし「域内の電気自動車バッテリー生産を増やし、バッテリー従属を避ける」と述べた。
ＥＵは不公正貿易から欧州企業を保護するために反補助金調査など防御手段も持ち出した。関税を避けるための迂回輸出など、電気自動車供給網全般の不公正貿易行為を積極的に取り締まるということだ。欧州製バッテリー部品の使用も義務付ける。義務使用比率はまもなく発議する産業脱炭素化促進法などに具体的に規定する展望だ。
欧州が域内産業保護に積極的に乗り出したのは、米国トランプ政権の関税戦争に対応するためだ。先月２６日、トランプ米大統領はＥＵが「米国を食いつぶすために作られた組織」と主張し、自動車を含む欧州製輸入品に２５％の関税を課すと述べた。実際、グローバル自動車メーカー各社は、米国への生産施設の移転を検討し始めている。ボルボのジム・ローアンＣＥＯ（最高経営責任者）は５日、ロイターに「（関税率が）１０％なら対処できるが、２５％まで上がるなら難しい」とし、「（欧州の）一部の生産ラインを米国サウスカロライナ州工場に移転することを検討する可能性がある」と述べた。
ＥＵは低価格の電気自動車を前面に出し、欧州市場に参入する中国企業も狙っている。ＥＵは昨年１０月、中国製電気自動車に最高４５．３％の関税を課して貿易障壁を作り、中国製電気自動車のシェアは８．２％（１０月）から７．５％（１１月）へと下がった。産業研究院のチョ・チョル先任研究委員は「ＥＵの関税措置で中国の電気自動車輸出が非常に難しくなった」とし、「中国企業等も欧州現地で生産・雇用活動をしないと電気自動車を売ることができなくなった」と述べた。グローバル１位の電気自動車メーカーの中国の比亜迪（ＢＹＤ）は先月、ドイツ・フランクフルトに３番目の欧州工場建設計画を発表した。
韓国国内自動車業界も欧州現地の生産を増やし、規制対応に乗り出す。現代自動車は内燃機関を生産していたトルコ工場で来年から電気自動車を混流生産（一つのラインで複数の車種を生産）する。欧州戦略型モデルを生産し、貿易障壁や環境規制を回避するためだ。起亜自動車はスロバキア工場で先月公開した新しい電気自動車モデル「ＥＶ２」と「ＥＶ４」を量産する計画だ。
専門家らは現地生産拡大に先立ち緻密な分析が必要だと話す。大徳（テドク）大学未来自動車学科のイ・ホグン教授は「工場を建てるには数年の時間と数兆ウォンのお金がかかるが、現地の消費者選好と販売量は数カ月ぶりにも急変する可能性がある」とし、「自動車産業全般的に過剰設備投資が予想される状況で、完成車企業間の協力が費用を減らす方法になりうる」と述べた。
◇関税賦課前に米国の新工場竣工式を検討する現代自動車
トランプ政府がメキシコ・カナダに賦課した２５％関税のうち、自動車だけを１カ月猶予することにしたことから、他の完成車メーカーも４月２日に予定されている自動車関税猶予措置を引き出せるか注目される。ホワイトハウスは米国産業保護について、関税を一旦猶予するとしつつも究極的には米国に生産施設を移転して投資を始めなければならないという点を明確にした。依然として関税の脅威を示しながらも、完成車メーカーがどれだけ投資をするかによって、４月の関税交渉に余地を置いたわけだ。
現代（ヒョンデ）自動車グループは早ければ今月末、米ジョージア州でメタプラント・アメリカ（ＨＭＧＭＡ）の竣工式を行う計画だ。竣工式で現代自動車グループが米国の投資計画を発表する可能性も提起されている。現代自動車グループの関係者は「竣工式の日程は未定で、３月末から４月中旬の間」とし、「関税政策が一日～二日間隔で変動しているため、すべての可能性を念頭に検討している」と述べた。
起亜（キア）自動車はメキシコのモンテレイ工場で準中型セダンＫ４を生産し、米国に販売しているが、今回の関税猶予の措置でひとまず１カ月間の時間を稼いだ。起亜自動車はメキシコ工場の生産物量をカナダ・南米・中米などに輸出するなど、既存物量を消化する他の市場を探して関税の影響を減らそうとしている。また、米国現地生産も拡大する計画だ。
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