24日でロシアがウクライナを全面侵攻してから丸3年となった。当初、ロシアのプーチン大統領はウクライナのゼレンスキー政権をすぐに倒して「親ロ傀儡政権」をウクライナに立てる考えだった。しかし核兵器保有国ロシアの圧倒的な武力で3、4日で崩壊するとみられたウクライナは戦争の惨禍を経験しながらも今まで決死抗戦してきた。
米国と北大西洋条約機構(NATO)など自由民主主義陣営は軍事的援助と前例のないロシア経済制裁で包囲網を構築し、ウクライナを支援した。大韓民国は小児用ワクチン、医療機器、緊急医薬品、発電機など人道的物品を支援した。ロシアは2014年のクリミア半島に続いて東部ドンバス地域を占領したが、今度はウクライナ全体を併合することができなかった。第2次世界大戦当時の主要戦場だったクルスク地域をウクライナの奇襲攻撃で失った。戦争は一進一退の攻防の中で3年が経過した。
ところが昨年11月の米大統領選挙で共和党のトランプ候補が当選してから、プーチンの運勢は劇的に開かれ始めた。2017年の最初の執権当時からいかなる理由のためかプーチン、習近平(中国国家主席)、金正恩(キム・ジョンウン、北朝鮮国務委員長)ら権威主義政権の指導者に親近感を表示したトランプは「ウクライナ戦争を終わらせる」と豪語し、ロシア側と終戦談判に着手した。
トランプはウクライナを排除したまま露骨にロシアをかばう。彼はウクライナのNATO加入はないとして一線を画した。2013年末にロシアがウクライナの内政に介入して始まった侵略で強奪したクリミア半島など、ロシアが奪った領土をウクライナがすべて取り戻すのは非現実的だとし、プーチンの機嫌を取ろうとしている。トランプ政権のこうした動きはウクライナだけでなくNATO同盟国を「パッシング」する行為であり、欧州が驚いている。
強大国の駆け引き対象となったウクライナをみると、約70年前の韓半島(朝鮮半島)を思い出す。ウクライナと韓半島はユーラシアの地政学的断層に位置し、列強の代理戦に露出している。韓国戦争(朝鮮戦争)に疲れた米国の有権者は1952年に共和党のアイゼンハワー大統領を選出し、翌年に休戦協定が締結されて銃声がやんだ。今回も米国大統領選挙で終戦を公約したトランプ候補が政権交代を果たし、実際に終戦の協議が始まった。
歴史は巡って巡るのか。ウクライナ戦争の終戦協議は他人事でない。第2次大戦後に恒久的平和のために組織された国連の安全保障理事会常任理事国であるロシアが国際的に承認されたウクライナを不法侵略した。ところがプーチンでないゼレンスキーを独裁者と呼ぶトランプの形態は衝撃そのものだ。国連が認めた韓半島の唯一の合法政府である大韓民国を不法的に武力南侵した金日成(キム・イルソン)主席でなく李承晩(イ・スンマン)政府を韓国戦争中に除去しようと米国が天秤にかけた当時が重なる。弱小国の悲劇だ。
幸い、当時の李承晩政権は反共捕虜釈放という「瀬戸際戦術」を活用する決断力を発揮した。韓国が休戦を黙認する代わりに米国は韓米同盟、すなわち相互防衛条約を締結した。これで在韓米軍を韓半島に駐留させることができた。このおかげでその後、朴正熙(パク・ジョンヒ)政権が漢江(ハンガン)の奇跡を築き、今ではKカルチャーが地球村を風靡する先進国へと飛躍した。
ウクライナ戦争が対岸の火事でないもう一つの理由がある。朝ロ秘密取引により派兵された北朝鮮軍がウクライナの戦場に加勢したからだ。実戦経験を積んで最新ドローン戦闘まで経験した北朝鮮軍が帰国すれば、大韓民国の安保に対する脅威が強まる。プーチンの「秘密の贈り物」まで手に入れる金正恩がトランプの歓心を買って「ソウルパッシング」を夢見るシナリオは不吉だ。
トランプはウクライナのレアアース(希土類)資源を占めようとしたが、強い反発にぶつかると「ウクライナ再建に使う」として一歩後退した。弱肉強食のジャングルのような冷酷な国際政治の現実を痛感する。ウクライナ戦争の終戦協議を見ながら韓半島に及ぶ余波を考える。国際情勢は急激に変わるが、韓国の国内政治の混乱はあまりにものんきなものだ。自由民主主義を守る韓米同盟と自主国防力量、そして強力なリーダーシップがいつよりも重要だ。
シン・ドンチャン/法務法人律村弁護士
◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
米国と北大西洋条約機構(NATO)など自由民主主義陣営は軍事的援助と前例のないロシア経済制裁で包囲網を構築し、ウクライナを支援した。大韓民国は小児用ワクチン、医療機器、緊急医薬品、発電機など人道的物品を支援した。ロシアは2014年のクリミア半島に続いて東部ドンバス地域を占領したが、今度はウクライナ全体を併合することができなかった。第2次世界大戦当時の主要戦場だったクルスク地域をウクライナの奇襲攻撃で失った。戦争は一進一退の攻防の中で3年が経過した。
ところが昨年11月の米大統領選挙で共和党のトランプ候補が当選してから、プーチンの運勢は劇的に開かれ始めた。2017年の最初の執権当時からいかなる理由のためかプーチン、習近平(中国国家主席)、金正恩(キム・ジョンウン、北朝鮮国務委員長)ら権威主義政権の指導者に親近感を表示したトランプは「ウクライナ戦争を終わらせる」と豪語し、ロシア側と終戦談判に着手した。
トランプはウクライナを排除したまま露骨にロシアをかばう。彼はウクライナのNATO加入はないとして一線を画した。2013年末にロシアがウクライナの内政に介入して始まった侵略で強奪したクリミア半島など、ロシアが奪った領土をウクライナがすべて取り戻すのは非現実的だとし、プーチンの機嫌を取ろうとしている。トランプ政権のこうした動きはウクライナだけでなくNATO同盟国を「パッシング」する行為であり、欧州が驚いている。
強大国の駆け引き対象となったウクライナをみると、約70年前の韓半島(朝鮮半島)を思い出す。ウクライナと韓半島はユーラシアの地政学的断層に位置し、列強の代理戦に露出している。韓国戦争(朝鮮戦争)に疲れた米国の有権者は1952年に共和党のアイゼンハワー大統領を選出し、翌年に休戦協定が締結されて銃声がやんだ。今回も米国大統領選挙で終戦を公約したトランプ候補が政権交代を果たし、実際に終戦の協議が始まった。
歴史は巡って巡るのか。ウクライナ戦争の終戦協議は他人事でない。第2次大戦後に恒久的平和のために組織された国連の安全保障理事会常任理事国であるロシアが国際的に承認されたウクライナを不法侵略した。ところがプーチンでないゼレンスキーを独裁者と呼ぶトランプの形態は衝撃そのものだ。国連が認めた韓半島の唯一の合法政府である大韓民国を不法的に武力南侵した金日成(キム・イルソン)主席でなく李承晩(イ・スンマン)政府を韓国戦争中に除去しようと米国が天秤にかけた当時が重なる。弱小国の悲劇だ。
幸い、当時の李承晩政権は反共捕虜釈放という「瀬戸際戦術」を活用する決断力を発揮した。韓国が休戦を黙認する代わりに米国は韓米同盟、すなわち相互防衛条約を締結した。これで在韓米軍を韓半島に駐留させることができた。このおかげでその後、朴正熙(パク・ジョンヒ)政権が漢江(ハンガン)の奇跡を築き、今ではKカルチャーが地球村を風靡する先進国へと飛躍した。
ウクライナ戦争が対岸の火事でないもう一つの理由がある。朝ロ秘密取引により派兵された北朝鮮軍がウクライナの戦場に加勢したからだ。実戦経験を積んで最新ドローン戦闘まで経験した北朝鮮軍が帰国すれば、大韓民国の安保に対する脅威が強まる。プーチンの「秘密の贈り物」まで手に入れる金正恩がトランプの歓心を買って「ソウルパッシング」を夢見るシナリオは不吉だ。
トランプはウクライナのレアアース(希土類)資源を占めようとしたが、強い反発にぶつかると「ウクライナ再建に使う」として一歩後退した。弱肉強食のジャングルのような冷酷な国際政治の現実を痛感する。ウクライナ戦争の終戦協議を見ながら韓半島に及ぶ余波を考える。国際情勢は急激に変わるが、韓国の国内政治の混乱はあまりにものんきなものだ。自由民主主義を守る韓米同盟と自主国防力量、そして強力なリーダーシップがいつよりも重要だ。
シン・ドンチャン/法務法人律村弁護士
◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
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