米国の無差別的な通商圧力がますます激しくなっている。ラトニック米商務長官は２１日、大韓商工会議所会長を務めるＳＫグループの崔泰源（チェ・テウォン）会長が率いる対米通商使節団と面談した席で、韓国企業が米政権のファストトラック支援を受けようとするなら「最小１０億ドルの投資が必要だ」という反応を見せたという。第２次トランプ政権の閣僚が韓国に対し具体的な数値を挙げて投資基準を取り上げたのは初めてで、「米国優先主義」の実体を現したものと解釈される。

無条件で１０億ドル以上を投資しなければならないということではないが、その程度の投資をしてこそ米国政府が税制優遇などの投資インセンティブを与えるファストトラックを提供できるということなので韓国企業には相当な圧力になるほかない。これに対し崔泰源会長は「トランプ政権は米国に生産施設をもう少し望むと話すが、われわれはインセンティブが一緒になければならない」と明らかにした。米国側が国別・品目別の関税、普遍・相互関税などで圧迫しているが企業がむやみに巻き込まれることはできないという立場を述べたものとみられる。韓国政府次元でも企業を後押しするための対応策をシナリオ別に精巧に用意していなければならないだろう。

米国政府もやはり最近個別の国との交渉により関税賦課を別にできるという余地を見せ始めた。トランプ大統領は先週末、「２０２５保守政治活動会議（ＣＰＡＣ）」に参加し、関税に１５回も言及しながら「関税は強力な外交手段でもある」とした。関税を他の国を圧迫する手段であり交渉カードとして活用している意図を隠さなかったのだ。韓国としては政府が「リーダーシップ空白状態」であっても韓国が米国の最大の投資国という事実とともに米国が望む造船業協力などを提案し韓米両国がウィンウィンする道が何なのかトランプ政権をしっかりと説得する必要がある。


この渦中に韓国企業は反企業政策に苦しめられている。野党「共に民主党」は「黄色い封筒法」を再発議し商法改正案の早急な推進を明らかにした。２つの法案が実現されれば労働組合の違法ストは容易になり、企業経営陣は訴訟乱発に苦しめられる可能性が大きくなる。韓国企業は国の外では米国の関税圧力と中国の技術力追撃を受け、中では違法ストと訴訟という鉄の足かせをはめられたまま走らなければならない局面だ。政界は反企業政策を引っ込めて韓国企業が世界競争を切り開いて行けるよう実効性ある支援策を講じなければならない。特に国内投資を増やす企業に対するインセンティブが切実だ。現在のように反企業形態が続けば企業も失い雇用も消える。