トランプ米大統領が９日。米国に輸入されるすべての鉄鋼とアルミニウム製品に２５％の関税を課すと明らかにした。特定国だけでなく全世界を対象にした第２次トランプ政権の初の関税措置だ。米国製品に相手国が課す関税の分だけ該当国の製品に同じように課す相互関税の発表も予定されている。関税を武器にしたトランプ発の世界貿易戦争がひとつふたつと可視化している。輸出中心の製造業である韓国や韓国企業が耐えなければならない不確実性が心配していたように大きくなる雰囲気だ。

韓国は昨年１～１１月に鉄鋼４７億ドルとアルミニウム８億ドルを米国に輸出した。両製品とも韓国は米国の５番目の輸入相手国だ。米国は鉄鋼とアルミニウム輸入国１～３位であるカナダ、中国、メキシコとはすでに関税戦争を始めたりしばし猶予した状態だ。韓国をはじめとした残りの国も関税爆弾の直接的な影響圏下に入った。第１次トランプ政権は２０１８年に通商拡大法第２３２条を適用して国家安全保障を理由に世界の鉄鋼製品に２５％の関税を課した。当時韓国は交渉の末に直前３年間の年平均輸出量の７０％水準である２６３万トンに輸出量を減らす代わりに無関税の恩恵を受け現在も維持している。

鉄鋼などに対する２５％の関税の具体的な内容はまだ公開されていない。トランプ大統領が「関税はＵＳスチールをとても成功的な企業にするだろう」と言及したことから、関税を時刻産業保護と海外企業投資誘引に向けた交渉戦略として活用するという戦略は明らかに見える。発表が迫る相互関税も不安なのは同様だ。自由貿易協定（ＦＴＡ）でほぼ無関税だが、韓国が米国の貿易赤字相手国８位に上がっており安心はできない。


トランプ発の関税戦争が前任のバイデン政権で最高潮に達した韓国製造業の対米投資を加速するかも注目しなければならない。海外直接投資は現地需要と世界的供給網などを考慮して企業が自ら決める問題だが、良質の製造業雇用が切実な国内の現実も目をそらすことはできない。米国政府の約束を信じて現地に進出した韓国企業が被害を受けないよう政府レベルで積極的に対応する一方、起業するのに良い環境を作る努力も国内で続けなければならない。

米国との２国間貿易交渉の可能性が負担だが、貿易国の韓国としては世界的な関税戦争が追い立てる貿易萎縮も悩みだ。韓国企業と政府ともトランプ発の関税戦争で不確実性が大きくなった経済環境に安全ベルトを締めてしっかり備えなければならない。通商交渉では与野党と政府・企業がワンチームで動くことが重要だ。政争は国境の前で止めるべきだが韓国のリーダーシップは空白で、弾劾戦線で政界は争ってばかりで心配するほかない。