TSMC
世界最大の半導体委託生産(ファウンドリー)企業の台湾TSMCは足早に動いた。台湾の現地報道によると、TSMCは10日から2日間にわたり米アリゾナ州のTSMC工場団地で理事会を開き対応案を協議する予定だ。すでに稼動を始めた第1工場と建設中である2つの工場に続き、追加新規建設案と先端パッケージング工場建設計画をともに検討するという。米国での生産能力を拡大し関税賦課による影響を最小化するという戦略とみられる。
業界ではTSMCがアップルとエヌビディアなど米国ビッグテックの顧客を抱えているだけに十分な現地注文量が米国の生産ライン拡張を後押しできるとの評価が出ている。先月16日のTSMC業績発表会で魏哲家最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)部門で強力な需要と最終IT機器市場の回復に力づけられ今年は前年比10%以上の市場成長が予想される」と予測した。
これに対しサムスン電子とSKハイニックスなど韓国の半導体企業は事情が異なる。サムスン電子もやはり現在テキサス州オースティンにファウンドリー工場を運営中で、近隣のテイラーに370億ドルを投資して新規工場も建設中だ。だがビッグテック顧客の確保が難航しており、積極的投資には負担が伴う状況だ。先端工程部門で需要が急増するエヌビディアの供給網にまだ合流できていないことが代表的だ。
トランプ政権が補助金支給再検討を示唆したのも障害だ。前任のバイデン政権が約束した補助金に基づいてSKハイニックスはインディアナ州に先端半導体パッケージング工場を建設する計画を立てた。だが補助金が一部でも縮小される場合、SKハイニックスとサムスン電子としては投資規模の調整を迫られるかもしれない。米国の高い人件費と厳格な環境規制による高い生産単価を相殺する代案がないためだ。現地でこれを吸収する需要まで十分でないならば企業の費用負担はさらに大きくなると予想される。
この記事を読んで…