トランプ米大統領
ニューヨーク・タイムズは10日、「中国は世界の鉄鋼とアルミニウム産業を支配している」として今回の関税政策の核心は中国だと指摘した。
中国が直接米国に鉄鋼とアルミニウムを輸出する量は多くない。米国鉄鋼協会(AISI)が先月27日に公開した資料によると、米国は昨年2885万8000トンの鉄鋼を輸入し、最大の輸入相手国はカナダで655万7000トンだった。次いでブラジルが449万8000トン、メキシコが351万7000トンの順で、韓国は280万9000トンで4番目だった。
中国の昨年の対米鉄鋼輸出量はこれに比べ大きく少ない50万8000トンで、米国の全輸入量の1.76%にすぎない。これは昨年9月に当時のバイデン大統領が中国製鉄鋼とアルミニウム製品に対する関税を25%に引き上げた影響も反映されている。
だが世界の鉄鋼・アルミニウム業界で中国の支配力は強大だ。同紙は「中国の広大な近代式工場は毎年全世界を合わせた分量ほどの多くの鉄鋼・アルミニウムを生産する。大部分は中国内の高層ビルと船舶から洗濯機、自動車に至るまで多様な製品を作るのに使われる」と報道した。
問題はこの数年にわたり深刻な内需萎縮に陥っている中国が過剰供給された鉄鋼・アルミニウムを海外輸出に回している点だ。中国の製鉄所は工場稼動中断を防ぐため必死に鉄鋼輸出を増やすことで対応しており、この数年間に鉄鋼価格をますます低く策定し世界的に価格下落を触発させたと同紙は指摘した。
中国の鉄鋼・アルミニウム低価格輸出の大部分はカナダとメキシコなどに向かい、残りの一部はベトナムなど開発途上国に流入している。ベトナムは中国から半加工鉄鋼を相当量購入し、これを加工した上で世界市場にベトナム製鉄鋼として再販売する構造だ。
中国のダンピング攻勢は米国内の政治的影響力が大きい鉄鋼産業と労組に大きな打撃を与え、これらの不満が長く貯まってきた状態だ。かつて米国の鉄鋼生産の前進基地の役割をしたUSスチールは米大統領選挙の核心激戦州に挙げられ関心を集めたペンシルベニア州に本社を置いており、全米鉄鋼労組も同州ピッツバーグに本部がある。
全米鉄鋼労組のマイケル・ウェスル貿易担当顧問は「中国の過剰生産は世界市場を泥沼に陥れ、米国の生産者と労働者に深刻な害を与えている」と同紙に話した。結局過剰生産された中国製品が世界市場を低価格で攻略し米国の鉄鋼産業を脅かす状況が続くことからトランプ大統領が世界の鉄鋼・アルミニウムを相手に関税カードを切ったという診断だ。
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