トランプ米大統領
トランプ大統領は9日、米プロフットボール(NFL)チャンピオン決定戦「スーパーボウル」が開かれるニューオリンズに向かう専用機内での記者懇談会でこうした計画を公開した。彼は「アルミニウムにも同じように適用するだろう」と付け加えた。
トランプ大統領は第1次政権当時の2018年にも通商拡大法第232条を適用し、輸入鉄鋼に25%の普遍関税を課した。米国の鉄鋼産業が外国企業にシェアを奪われ国家安全保障に脅威になるという理由からだ。当時韓国は交渉を通じて2015~2017年の年平均輸出量約383万トンの70%に当たる263万トンまで輸出し、無関税を適用することで合意した。日本、英国、欧州連合(EU)などはクオータ分までは無関税、それ以上の輸出分には25%の関税を課された。結果的にクオータ制以降、韓国の年間対米鉄鋼輸出量は100万トンほど減った。
米国の鉄鋼市場は年間約1億トン規模だ。このうち8000万トンが現地生産、残りの20%は輸入する。それでもトランプ政権が第1次政権に続き再び関税カードを切ったのは、米国製鉄鋼製品保護の目的が大きい。米国の鉄鋼企業は人件費負担が大きく、既存の化石燃料高炉より炭素排出が少ない電気炉転換も遅れており、輸入品と比べ生産単価が高い方だ。
◇韓国鉄鋼、クオータ制廃止時は価格競争力に打撃
延世(ヨンセ)大学経済学科のイ・スンフン教授は「今回の関税賦課発言は米国鉄鋼企業の価格競争力を守り、海外企業から現地投資を誘致するための戦略」と話した。USスチール買収を試みた日本製鉄が7日の石破茂首相とトランプ大統領の首脳会談後に「買収の代わりに投資」という形でフレームを変えたのも自国産業保護に傍点を置いたトランプ政権の基調に合わせたものという見方が出ている。
韓国の鉄鋼業界は現地投資拡大案を検討している。現代自動車系列の現代製鉄は10兆ウォンほどを投資して米国に初の製鉄所を作る予定だ。現在米国南部ルイジアナ州が有力候補地として検討されている。ポスコもやはり米国現地生産を検討中であることがわかった。現地合弁法人を設立したり現地製鉄所買収など多様な案が議論される。世亜グループはテキサス州に年産6000万トン規模の特殊合金工場建設を推進中だが、さらに弾みが付くとみている。
ある鉄鋼企業関係者は「鉄鋼関税25%の適用対象や方式などがまだ具体的に公開されていないために、現地ネットワークなどを総動員して状況を把握している」と話した。最悪のシナリオはトランプ政権がすべての国を対象に無関税クオータ制を撤廃したり縮小したりすることだ。アルミニウム業界も緊張しているのは同じだ。アルミ箔の対米輸出の割合は全8万トンのうち約38%だ。
韓国政府はこの日、崔相穆(チェ・サンモク)大統領代行の主宰で外交部や産業通商資源部の長官らが参加する対外経済懸案懇談会を開き、米国の鉄鋼・アルミニウム関税賦課発表に対する対応案を点検した。合わせて産業通商資源部はパク・ジョンウォン通商次官補主宰で緊急点検会議を開催した。産業通商資源部は「韓国企業に及ぼす影響が最小化されるよう積極的に対応する」と強調した。
一部では造船産業や自動車産業に原材料を供給する後方産業である鉄鋼が米国で新たな機会を見つけられるともみる。トランプ政権が現地の船舶建造と防衛産業市場を育てる場合、現地で生産された韓国企業の鉄鋼製品需要が増えるだろうという期待だ。韓国防衛産業学会のチェ・ウソク会長は「米国の製造業のうち、防衛産業と造船産業は友好国の製品を使うほかないだろう」と話した。
問題は国内雇用だ。米国での生産量拡大時には国内工場の稼動中断、人材調整などの構造調整が避けられない。現代製鉄は昨年3カ所を、ポスコもすでに2カ所を中断した。ある鉄鋼業界関係者は「変化する通商環境で海外生産拡大は避けられない選択であるだけに国内人材調整を最小化する案で慎重に検討する予定」と話した。
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