トランプ米大統領
トランプ大統領は7日、日本の石破茂首相との首脳会談で突然相互関税に言及した。トランプ大統領は会談前に取材陣が「相互貿易に対する大統領令にきょう署名するか」と尋ねると、「来週発表するものであり他の国々がわれわれを同等に待遇するようにする」と答えた。問答で行き来した表現は関税ではなく貿易だったが、米メディアはこれを相互関税と解釈した。
トランプ大統領は会談後の記者会見では「(相互関税発表が)10日か11日になされるだろう」と話した。ただ具体的な対象国と品目などは明らかにしなかった。「トランプ式相互関税」は貿易相手国間に同等な税率の関税を課す措置とともに▽米国の貿易赤字▽特定品目の貿易不均衡▽相手国内の租税制度――などまでも扱うものとみられる。
欧州連合(EU)などは影響を避けにくい見通しだ。トランプ大統領は就任当日の先月20日、EUを狙って「彼らは米国の自動車や農産物などほとんど何も輸入しない。米国はEUに約3000億ドルの赤字を出している」と話した。続けて「EUが米国の石油や液化天然ガス(LNG)をさらに購入したり(そうでなければ)関税を通じてそれを正すだろう」と強調した。
原則的には韓米自由貿易協定(FTA)で関税がほとんど廃止された韓国には影響はほとんどないと予想される。だが韓国が米国の9番目の貿易赤字国(昨年基準660億ドル)に達するだけに、半導体など特定品目別に追加関税を課す可能性もある。韓国貿易協会のヤン・ジウォン首席研究員は「相互関税をどのように設計するかにより韓国が受ける影響が変わるだろう。半導体、医薬品、鉄鋼など特定品目に対するターゲット関税をすると発表しただけに安心するのは早い状況」と話した。
韓国貿易協会が9日に発表した報告書によると、今後予想される米国の関税シナリオは、①中国10%の追加関税(シナリオ1)②シナリオ1+カナダとメキシコへの25%追加関税(シナリオ2)③シナリオ2+普遍関税10%――の3つだ。最も懸念するシナリオ3の場合、韓国の総輸出は昨年より132億4000万ドル(1.9%)減少する見通しだ。中国、カナダ、メキシコと競合度が高い自動車、造船、鉄道と資機材などの輸送機器や、電機・電子製品では利益が発生するが、結局普遍関税にともなう直接的な輸出減少の影響がはるかに大きいためだ。対米輸出だけ100億3000万ドル(7.9%)減り、対メキシコ輸出も15億7000万ドル(11.5%)減少すると予想される。
一方、中国は10日から米国に対し最大15%の報復関税賦課を始める。トランプ政権が4日から中国からの輸入品に対し10%の追加関税を課し、これに対し中国が正面対抗次元で報復関税を宣言した。その後米中間で水面下の交渉が行われたという見方が出ていたが、大詰めの交渉で関税賦課を30日間猶予したメキシコとカナダとは違い、中国に対しては具体的な動きが見えない状況だ。
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