北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長
7日の朝鮮中央通信によると、金正恩委員長は前日「地方発展20×10政策」推進現場の江東郡(カンドングン)病院と総合奉仕所の着工式に出席して演説し、「地方の落後性、後進性は物質生活領域よりも文化生活領域に多く潜在していて、都農の格差が最も深刻に表れる空間がまさに保健と衛生、科学教育分野」と述べた。
続いて「市、郡に現代的な保健施設と多機能化された文化生活拠点を建設することは、あらゆる分野、すべての地域の同時的、均衡的発展を促し、社会主義完全勝利を早めるうえで戦略的価値が大きい重大事業であり、一時も先延ばしできない初級の課題」と強調した。
また「最も問題になるのは我々の保健幹部が総合的な現代医療施設に対する表象と設備運営経験が不足していて、学術的な資質と医術も微弱である点」とし、保健人材のレベルが落ちるという点も認めた。「医療幹部に対する技術伝習を確実に組織し、病院が開院すれば治療事業を円滑にできるよう準備させ、技術者、技能工もそれぞれの分野に精通することが重要だ」としながらだ。
同時に金正恩委員長は今年、江東郡のほかにも竜岡郡(ヨンガングン)・亀城市(クソンシ)に病院を建設する一方、来年から年間20市・郡ずつ病院を同時に建設するという計画も明らかにした。
総合奉仕所の概念も自ら明らかにした。金正恩委員長は「科学技術普及拠点に性能の高い情報技術手段を備え、それぞれの最新科学技術資料基地まで構築すれば、地方の人民と青少年が現代科学と文明に近くで接しながら、地域の経済文化発展を主導していくことができる見識と資質を兼ね備えるのに大きく役立つ」と説明した。「映画観覧もして体育文化生活もできる施設と衛生環境が保障された商業網、その他の各種便宜施設まで含まれた」とも紹介した。地域経済活性化に寄与できる複合文化コンプレックスとしても機能する一種のIT拠点を造成したという趣旨とも理解される。
これに先立ちトランプ大統領は金正恩委員長とまた連絡をとると自ら明らかにするなど、朝米対話の再開意志を明らかにしたが、まだ金正恩委員長は反応していない。ルビオ米国務長官の「ならず者国家」発言に対して北朝鮮外務省の報道官が「米国がならず者国家」(3日の談話)として反発したのが、トランプ政権の幹部に対する北朝鮮側の唯一の反応だ。
その代わり金正恩委員長は自ら注力する「地方発展20×10政策」の成功など経済活性化に集中する姿を演出している。この政策は毎年20市・郡に現代的な工場を建設し、10年以内に全国人民の物質文化生活水準を一段階発展させるという構想であり、金正恩委員長が昨年1月に自ら提示した。
こうした動きには、まずは経済難による民心離反などを防ぐと同時に、トランプ政権の対北朝鮮基調が明確になるまでは反応を控えながら対米戦略を立てようという意図があるとみられる。金正恩委員長が2019年2月に「ハノイ・ノーディール」という痛恨の失敗を経験しただけに、交渉力を高める手段を最大限に講じた後に対話テーブルに座るという見方が多い。
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