尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が4日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の憲法裁判所で開かれた本人に対する弾劾審判5次弁論に被請求人として出席し、発言している。 写真=憲法裁判所
その中で米国政府の立場は明らかだ。2024年8月に開催された韓米日キャンプデービッド首脳会議を発展させていこうということについて超党的な支持がある。この4年間、米国の東アジア政策で最優先順位は韓日関係の改善だった。対北朝鮮抑止力を強化し、韓米同盟と米日同盟の連携で中国の強圧的態度を制限するのが米国の立場だった。
しかし、このような共感が米国の政界に完全に定着したわけではない。トランプ大統領は、共和党議員が支持するアジア戦略について、まだ個人的に支持するかどうかを明らかにしていない。したがって、米国の韓米同盟の擁護論者たちは尹大統領の韓米同盟中心議題から逸脱したり逆行する状況が発生した場合、トランプ大統領が最近カナダのような主要友好国に対するように韓国に接しかねないと懸念している。
石破茂首相は「与小野大」の状況で、韓日関係で前向きな外交政策を展開する余力がない。もし、韓国で反日を煽る政治的動きが生じれば、高市早苗元経済安保担当相のような宿敵が国粋主義的な反韓カードを利用して石破首相を攻撃する口実にするだろう。最近、筆者が行った調査で、日本の安全保障専門家の80%以上は韓日の安保・外交協力が重要だが、両国の国内政治によって協力に支障が生じるおそれがあると懸念を示した。
オーストラリアも同じだ。アルバニージー首相の政府で韓・豪両国の国防・経済交流が強化されている。尹大統領の「インド・太平洋戦略」はオーストラリア政府のインド・太平洋戦略と脈略を同じくする。しかし、韓国の政治危機で両国の交流に問題が生じることを懸念している。
英国も韓国の現在の政治状況に落胆するしかないだろう。英国の欧州連合(EU)脱退、すなわちブレグジット(Brexit)以降、グローバル舞台で独自の生存を模索してきた英国の立場で、韓国はアジアの浮上する核心軸だった。英国をはじめとする欧州諸国はウクライナに対する韓国の強い支持の立場、韓国の北大西洋条約機構(NATO)+IP4(韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド)への持続的な参加の有無に注視するだろう。
一部の東南アジアの友好国も焦って韓国の状況を見守っている。シンガポールのISEAS研究所の調査によると、東南アジア地域で韓国に対する信頼水準が非常に高い。だが、ベトナム・シンガポール・インドネシアの外交・安保当局者たちはもし韓国のインド・太平洋外交戦略が尹大統領以前に後退するかどうかに神経を尖らせるだろう。
日本・オーストラリア・ベトナム・英国の共通点は、アジア地政学が米中競争のために決定されることはないという点を認知しているということだ。彼らは、アジア域内が多極体制で、立場が似ている国の協力で各国の影響力を育てることができ、これにより米国主導体制を強化し、必要な場合は米国の行動を仲裁できると信じている。
安倍政権時代の積極的な外交政策のおかげで、日本はアジアの多極体制で主要なパートナー国家に浮上した。しかし、日本だけでは足りなかったため、尹政府が多極体制とインド・太平洋地域を外交政策の根幹とした時、呼応が大きくならざるを得なかった。しかし今、これらの国家は弾劾事態で尹大統領が新しい外交戦略まで吹き飛ばしたのではないかと心配している。
まさにこの地点は中国・ロシア・北朝鮮当局者たちも注視する部分だ。力を失って従順に変わる韓国は、これら国家の戦略に符合するからだ。韓国の政治家の誰もが、このような質問を避けてはならないだろう。メディアと国会が国内政治にばかり没頭する中、浮上している与野党の指導者たちにこのように問わなければならない。「昨今の政治危機が終わった後、韓国のグローバル地位を持続して強く維持していく腹案は何か」ということだ。
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マイケル・グリーン/豪シドニー大学米国学センター所長/米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長
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