中国の人工知能（ＡＩ）スタートアップ「ディープシーク（ＤｅｅｐＳｅｅｋ）」が世界金融市場を揺るがしている。ディープシークはモデル訓練投入費用がＯｐｅｎＡＩ（ＧＰＴ－４）の１８分の１、メタ（ラマ３）の１０分の１にすぎない。ディープシークは投資が多いほど競争力を確保できるとして投資競争をしてきたＡＩ業界に根本的な質問を投げかけた。果たして高いチップを大量に使用することだけが最善なのか。こうした疑問はＡＩだけでなく半導体など関連産業にも広がり、株価が揺れた。ビッグテック企業は最近の業績発表でＡＩ投資を続けるとしながらも投資の効率性を強調するなど以前とは異なる態度を見せた。旧正月連休中、米国株式市場ではエヌビディアなど主要企業の株価が急騰落した。この衝撃は旧正月連休が終わった韓国金融市場にそのまま伝わった。

連休直後の３１日、ＫＯＳＰＩ（韓国総合株価指数）は外国人売りで下落し、ＳＫハイニックス・ＨＤ現代エレクトリックなど人工知能（ＡＩ）サプライチェーンがこじれた国内上場銘柄の株価は急落した。韓国取引所によると、この日ＫＯＳＰＩは前営業日比０．７７％下落した２５１７．３７で引けた。株価の下落は外国人が主導した。個人と機関はそれぞれ９６２０億ウォン、１８７４億ウォンの買い越しとなった半面、外国人は１兆２３４０億ウォンの売り越しとなった。

株価の下落は予想されていた。米株式市場はすでに先月２７日（現地時間）「ＡＩ版スプートニクショック」と呼ばれる中国産低価型生成ＡＩ「ディープシーク」出現と同時に大きく揺れた。スプートニクショックとは１９５７年に旧ソ連が世界で初めて人工衛星（スプートニク１号）打ち上げに成功し、米国に大きな衝撃を与えた事件を意味する。米国ＡＩ市場の衝撃はすぐに韓国株式市場にも悪材料として作用する。米国ＡＩ市場への依存度が高いサムスン電子・ＳＫハイニックスなど半導体業種がＫＯＳＰＩ時価総額の約３０％に迫るからだ。


新韓投資証券のイ・ジェウォン研究員は「半導体だけでなく電力機器・電線などＡＩサプライチェーン全般の株安につながり、ＫＯＳＰＩ全般を引き下ろした」と評価した。ただ、ディープシークの衝撃がすべての銘柄に悪材料として作用したわけではない。ＳＫハイニックス（－９．９％）、サムスン電子（－２．４％）など半導体関連株とＨＤ現代エレクトリック（－７．９％）、ＬＳエレクトリック（－８．２％）など電力株は下落したが、ネイバー（６．１％）、カカオ（７．３％）などＡＩソフトウェア関連株は上昇した。生成ＡＩ技術を安く利用できる場合、ソフトウェア企業の収益性が高まるという見方からだ。

ｉＭ証券のソン・ミョンソブ研究員は「ディープシークの成功モデルが事実なら、もうＡＩ革新はどれほど支出するかではなくどれほど効率的に開発するかによって勝敗が決定する可能性が高まる」とし「ビッグテック企業は大規模な支出より効率的な投資とソフトウェア開発に関心を向ける可能性が高い」と分析した。続いて「（これは）エヌビディアに否定的な影響を及ぼす公算がある」とし「現在までのエヌビディアの高成長は、絶えず新規高性能グラフィック処理装置（ＧＰＵ）を販売し、これをＡＩ開発会社が競争的に購入してきたため」と診断した。


韓国金融市場、ディープシークで衝撃…半導体株が下落（２）