サムスン電子モバイル(MX)事業部CX室長のキム・ジョンヒョン副社長が23日(現地時間)、米国サンノゼで開かれたギャラクシーAI記者懇談会で発言している。[写真 サムスン電子]
サムスン電子の新作AIスマートフォン「Galaxy S25」シリーズの目標であり、誕生の背景だ。
難解で日常とかけ離れすぎていて、個人情報が漏れるのではないかと心配するユーザーの気持ちを「使いやすく日常的で安全なAI」に変えようというものだ。モバイル(MX)事業部の盧泰文(ノ・テムン)部長(社長)がギャラクシーS25販売量増大に自信を持つ背景でもある。
◇S25、耐久性高めたが核心は「使いやすいAI」
23日(現地時間)、サムスン電子MX事業部のキム・ジョンヒョンCX室長(副社長)は米国サンノゼで開いた記者懇談会で「AIが日常の時間・努力を確実に短縮し、手軽に使われるべき」とし、S25シリーズにAI音声秘書とAI専用ユーザインタフェース(UI)などを導入した背景を説明した。CX室は消費者の動きと技術の流れを分析し、その2つを組み合わせてモバイル製品を企画する組織だ。
Galaxy S25は機器性能・耐久性を改善した。前作より性能が40%向上したAIチップ(全モデル)、高さ2.2メートルからコンクリートの地面に落ちても割れにくい画面(ウルトラ)などだ。
しかし、新作の傍点は音声で疎通するAI秘書のようなソフトウェアにつけられた。キム副社長は「いくら機能が良くてもそれがどこにあるのか探しにくく、使いにくければ意味がない」とし「ユーザーがAI秘書と疎通する方式を新たにつくることが最も重要だ」と話した。
そのため適用したのが「地面から耕し直した」と表現したAI専用ユーザインタフェース(UI)「One UI 7」だ。Galaxyスマートフォンの画面構成を一新し、画面の下の部分にAI秘書と疎通するスペースを用意したが、これが単なるアップデートではなく「スマートフォン接近の新たな方式を提示した」ということだ。
◇AIの積極使用比率、6カ月で2倍に
この日、キム副社長はモバイルAIユーザー分析のためにロンドン大学ゴールドスミス経営研究所と実施した韓国・米国など10カ国のユーザーに対する研究結果も紹介した。これによると、モバイルAIを積極的に利用するとした回答率は27%で、6カ月前の調査に比べて2倍になり、特に韓国ユーザーのモバイルAI需用度が世界平均よりも高かった。キム副社長は「消費者はAIを活用する理由として、生産性の増大(52%)や創造力の向上(42%)、疎通能力の増進(41%)を挙げた」と説明した。
しかし70%以上のモバイルユーザーは相変らずAIを身近には感じておらず、研究によると、その主な理由は個人情報流出の懸念(90%)、難解な使用法(85%)、実用性に対する懐疑感(56%)だった(複数回答)。
これについてキム副社長は「マルチモーダル秘書、統合、パーソナライゼーション、セキュリティ」の4要素を強化して真のAIに進むと話した。マルチモーダルAIというのは、音声・テキスト・動画など多様な形態の情報を学習して人間と疎通することをいう。AI秘書が人間の音声を理解し(マルチモーダル)、複数のアプリを行き来しながら指示を実行し(統合)、自分の使用パターンに合わせた情報と便宜機能を提供する(パーソナライゼーション)ものの、個人情報が流出する危険はない(セキュリティ)ということだ。
◇グーグル(Google)と協力するものの、独自AI機能を強化
サムスンはこのためにグーグル・クアルコム(Qualcomm)のような業界強者とさらに緊密に協力した。グーグルのGemini(ジェミニ)をAI音声秘書として採択し、S25のすべてのモデルにクアルコムのチップを使用した。キム副社長は「AIの進行速度が非常にスピーディーで、すぐにスマートフォンの使用法が変化し、『今が資源を投資するタイミング』というところに業界リーダーたちが同意した」と話した。AI技術が大衆化するためにはチップセット(クアルコム)とエコシステム(グーグル)の両方が同時に備わっていないといけないが、強者と協力して時機を逃さずリードしていくということだ。
サムスンの独自性と差別性はオンデバイスAI強化で確保する計画だ。グーグルを経由せずにサムスン機器で直接に実現するAI機能だ。懇談会でMX事業部CX室のカン・ミンソク常務は「S25シリーズには通訳や個人オーダーメードサービスのように、サムスンGalaxyだけが提供できるデバイスAI機能が強化された」と話し、MX事業部開発室のチョン・ヘスン副社長は「サムスンのグローバルリサーチ研究を通じて独自AI通訳が20カ国言語までサポートされているが、サムスンだけができる機能」と付け加えた。
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