ドナルド・トランプ米国次期大統領
中国・蘇州などで工場を運営するサムスン電子は第２次トランプ政権の通商政策に神経を尖らせる。米国の中国牽制が強化されれば韓国の半導体産業が利益を得られるという見通しも出ているが、当面はどこへ向かうかわからないトランプ氏による不安感を大きく受け止める雰囲気だ。メキシコに家電製造工場を置いて米国に輸出するだけに、普遍関税導入など貿易政策変化にともなう影響も大きいと答えた。
ポスコもやはり貿易政策変化と米国優先主義拡大による影響が大きいだろうと答えた。ポスコは「米国内投資促進要求と北米市場販売減少が懸念される。米中関税戦争の余波で中国製品の韓国流入拡大による間接的な影響も予想され、韓国が中国の迂回輸出基地という汚名を着せられないよう備えが必要だ」と明らかにした。
第２次トランプ政権のエネルギー政策変化も韓国企業に直撃弾だ。アンケート調査でＳＫイノベーション、現代自動車、ＬＧエナジーソリューション、ＧＳカルテックスが指摘した。最も懸念するのは米インフレ抑制法にともなう補助金縮小または廃止だ。韓国のバッテリーメーカーは数年前から米国直接投資を拡大してきた。ＬＧエナジーソリューションはアリゾナ州の単独工場を含め米国で７カ所の工場を稼動または建設中だ。
ＳＫオンとＬＧエナジーソリューションは昨年から非常経営体制中で、ＬＧエナジーソリューションは今年投資と採用をいずれも減らすほど市場状況を暗くみている。バッテリー業界関係者は「第２次トランプ政権の親環境政策変化により対米投資計画を全面再検討するかもしれない」と話した。石油業界は第２次トランプ政権の石油ボーリング拡大公約により米国産原油輸入が増えると予想する。ＧＳカルテックスは「米国のエネルギー生産拡大にともなう原油価格変動性と世界的貿易環境の不確実性が懸念される」と明らかにした。
第２次トランプ政権発足を機会ととらえる産業もある。「対中牽制強化」の影響が最も大きいと答えたハンファソリューションは、米国に太陽光生産基地があり中国製品への関税を高めれば利益を得られるだろうと予想した。ＨＤ現代重工業もやはり「米海軍の整備・修理・オーバーホール（ＭＲＯ）事業協力拡大の可能性がある」として米中間の隙間で米国の友好国としてビジネスチャンスがあると予想した。
トランプ氏の親原発政策により小型モジュール原発（ＳＭＲ）分野で韓国企業が機会を得られるという見通しも出ている。斗山エナビリティは米ＳＭＲ企業のニュースケールパワーに投資し、昨年末にテラパワーの主要機器供給会社に選ばれるなど「ＳＭＲファウンドリー」としての位置付け強化を狙う。ＳＫグループもテラパワーに株式投資を通じて技術開発と事業協力を推進中だ。
◇米国で対官強化…ロビーに総力戦
企業は米国で現地対官組織を強化し対米ロビーを増やして不確実性に対応している。米国の半導体生産拠点建設に３７０億ドル以上を投資する予定のサムスン電子は対官組織のグローバルパブリックアフェア（ＧＰＡ）室を活用して米国の関係者らと接触を広げている。米国ロビー資金公開団体オープンシークレットによると、サムスングループは昨年７－９月期に累積対米ロビー資金５６９万ドルを注ぎ込んで過去最高を記録した。同じ期間にＳＫグループも４２３万ドルを執行し前年同期比２６．６％増加した。現代自動車は昨年ソン・キム元駐韓米国大使をグループ対外協力社長に迎え入れ、今回のトランプ大統領就任式に１００万ドルを寄付して友好関係構築に積極的に乗り出した。ＬＧグループで北米対官を総括するワシントン事務所は最近ロビー会社キャピトル・カウンシルなどと契約を締結し本格的な米国政府との関係構築に乗り出した。
ただ個別企業の努力だけでは限界があるという指摘が出る。西江（ソガン）大学国際大学院のホ・ユン教授は「第２次トランプ政権発足後には韓国政府次元で解決すべき問題が多い。普遍関税例外や補助金優遇維持などは政府間交渉を通じて勝ち取らなければならないだろう」と強調した。続けて「現在の韓国の国内政治的混乱で外交通商能力萎縮が懸念されるが、こうした状態が長期化すれば韓国企業に否定的影響を及ぼすほかない。米国政権が韓国政府との安定した関係に確信を持てるようにしなければならないだろう」と話した。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「第１次政権と違い第２次政権は外交パートナーである韓国政府が不安定な状態なため企業がそれぞれ対応しなくてはならない劣悪な状況。難しくても企業が最大限早く動かなければならない」と話した。
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